ノイズ | ナノ


何時間経ったろうか。あたしは巨人の後ろに並ばせられ、どこからか流れてくる声を聞いていた。きっとどこかで逃げるチャンスがあるだろう。
会場に、ローさんはいるだろうか。なんだか泣けてきた。始まったオークションに、皆は肩を震えさせてじっと堪えていた。助けてあげられないものか。思えば首輪は、爆発するもので下手をすればあたしも…、死ぬ。呼ばれた時に暴れようか、だけどそれではケイミーを助けることができない。


「2番と3番!準備を」


次から次へと増えていく番号。「お嬢さん、君は本当に能力者かな?」「…はい多分」「その腕輪をして、疲れる事や、怠くなったりする事はないのかな?」「疲れないけど…」「フム、なるほど」

「15番と16を檻から出せ」

もうすぐケイミーの番だ。16番の男は海賊だったんだろう。叫んで叫んで、結局奴隷になるため檻へと出る。
警備の人間がいなくなった、いける。まず檻から抜けなければ。「……あ」あるじゃないか、抜ける方法。檻を触り、「クリア」と言えば、充分抜けられる幅が出来た。「おじいさん、巨人さん、鍵開けておくね」側にあった檻の鍵を拾って、数十個ある内の鍵でなんとか開けた。外では人の叫び声が聞こえる。早く、早くケイミーを助けなくちゃ、

走って走って走って、声がする方へ走る。しかし迷路のようだ。どの道をいけばいいのかわからない。もう一度大きな音が聞こえればいいのに、
シーン、と、静かになった。もしかして、終わってしまったのだろうか。「時間いっぱいです!!」いや終わってない、「人魚のケイミーは、」まだ、「世界貴族チャルロス聖の」まだ、


ドカァンと大きく会場が揺れる、大きな音、わかった。この道でいい、いける!

暴れたらローさんはきっと怒るだろう。それにもしかしたら死ぬかもしれないけど、胸クソ悪いより全然いい。二発、発砲する音が響きまた静かになった、と、思えば、また二発発砲の音、そして木が割れる音。更に静かになる、会場、もうすぐだ。


「(何があったんだろう)」


この会場は静かになったりうるさくなったりするんだ。もうすぐ、もうすぐ、


「あっ!ちょっ!シールド!」


間一髪、女が発砲した銃弾はあたしが出したシールドによって塞がれる。「誰アマスか!!」次はあたしに向けられる銃口、あの女は海賊奴隷を蹴った奴だ。あたしもアイツを殺して蹴ってやれば、どんなに気持ちいい事か。


「ナマエ!!」