気づけば、あたしはローさんの事ばかり考えていた。今どこにいるんだろう、とか、今なにしているんだろう、とか、あたしの事心配じゃないのかな、とか、そんな事を少々と。もしかしたらあたしが心配でシャボンディパークにいるかもしれない、なんて考えたけどそれはないかなって。 シャボンディ諸島に着く前の晩、ローさんだけはいつもより遅く一緒のベットに入り、あたしの名前を一言だけ、消え入りそうな声で呼んだ。なに、そうあたしは返事したらローさんは笑って寝てたかと言った。寝てないよ、あたしはなぜか暖かい気持ちになっていて、ローさんの服を摘んだ。掴んだのではない、摘んだ。「寂しいんだろう」少し距離があるのに、ローさんは縮めずにその長い腕を伸ばして、背中に手の平が当たる。寂しいとか寂しくないとかわからない。 「新世界、」 「うん」 「…新世界だ」 「うん」 海賊王になる為、海に出た。ワンピースを手に入れる為に、海に出た。理由は人それぞれで、あたしなんか、そんな偉大な事なんかじゃなく、ちっぽけな事。ローさんをまもる。笑顔をまもる。あたしはローさんに命を託されている。腕だけでどうにかなることだ。 「おれが海賊王になったら、お前はどうする?」 「今日は随分ロマンチックだね」 「そうか?」 「その時に決める。」 あたしの人生だから、と。ローさんは納得したように笑ってあたしの頭を撫でた。世界は広いのだと。そう思った。あたしも、それを反すようにローさんの頭を撫でた。短い髪の毛は少し手にチクチクした。「おい」コチンと叩かれた頭の熱は、今まで体験してきた中で一番と言っていいほど、あつい 「ローさん」 「なんだ?」 おやすみなさい、 その短い一言で、ローさんは綺麗に笑い、「おやすみ」と言って、あたしとローさんは目を閉じた。 ◇ |