ノイズ | ナノ


「…なにあれ」


今あたしを通り抜けた乗り物に骨、がいこつが乗っていて、シカと麦藁帽子を首元にやっている男の子が泡の自転車?船?に乗っていた。その先には「頼むよ!おい!!」と叫んでいる男がいる。その男は女の人の首を持って「死にたくない!!」と。叫んでいる。お前が死ぬ前にその女の人の首が締まって死んでしまう。「スピード」あたしは男の前に移動し、女の人の首を握っている手首を握った。


「離しなよ」
「く、く、首、輪を、」
「え?」
「手ェかしてくれ!昔はガキが赤ん坊でよ、あの野郎まだおれの顔知らねェんだ!!」


「あの子も死んじゃう!!」後ろから聞こえてきた女の子の声と同時に、男からピピピピピと機械音が聞こえた。「(死ぬ?)」ぐるぐると体に何かが巻かれて、ぐい、と後ろにやられる「うわっ!」あたしをキャッチしたのは麦藁帽子の男の子だ。すると大きな爆発音が聞こえ、向いてみるとそこにはさっきの男が黒焦げになって倒れる。


「ひでェな…!!」
「なんで……あ、そうか、首輪だ…!」


男に近付いて首を見てみると、やはり首輪から煙りがたっていて、多量の火薬の臭いがする。「おいそこのお前!早くそいつから離れろよ!!」麦藁少年の声だろう。またまた後ろにぐいぐいと引っ張られて麦藁少年の隣にやられ。思いっきり頭を地面に叩きつけられると、ローさんが言っていた「天竜人」がやってきた。
天竜人の女は、ガツガツと男を蹴り、鉄砲で焦げた男を一発撃った。ひどい、無意識に拳を握りしめると麦藁少年が前に飛び出そうとしたところ、他の男がそれを防止させる。のしのしと巨人はその「天竜人」に連れられて、あたし達の前を通っていった。


「……ところでお前だれだ!」
「…それはこっちの台詞なんだけど…」
「おれか?おれはルフィってんだ!」
「あたしは…、ナマエ。その、助けてくれてありがとう。ルフィが引っ張ってくれなかったらあたしも死んでた…かな」


ルフィはにししと笑った。ローさんとは違って、綺麗に笑う、というより元気に笑う、の方が似合っているだろう。


「能力者?」
「おう!ゴム人間だ!」
「へえ…あたしもだよ!例えば見てて。…ライト」


指先から光が出ると、ルフィの友達が目を輝かせてあたしの指先に視線を送った。ルフィはすげーすげーと。シカもすげーすげーと。がいこつもすごいですねすごいですねと。パンツ見せてくれませんかと。ルフィが指先からあたしの顔に視線を戻し「お前、仲間になれ!」と言った。


「仲、間…。ルフィ、もしかして海賊?」
「え?ああ!」
「新世界を目指しにここにきたの?」
「当たり前だろ!よく新世界の事知ってんな!」
「……あたしも海賊だから。…だから仲間にはなれないし、新世界の事知ってるの」
「ええ〜!」


残念だとルフィが麦藁帽子を被り直した。「じゃあ、また会おうね。ルフィ」手を振って、大きな観覧車を目指して歩き出した。ローさんどこ行ったのかなあ、そうのんびりと歩きながら空に浮かんでいるシャボテン玉を眺めた。一人はつまらない。初めてそう思った。いつも近くにローさんがいた。だけど今はいない。虚無感、というより寂しさを感じる


「…あっ!!」


(やばい!)お腹を抑える前に、お腹からぐうう、と悲鳴が出た。顔が赤くなるのがわかる。「…えへへ」ルフィは大きくさせていた目を細くして「おめェ面白いな!」と背中をばしばし叩く。今お金はそんなに持っていないし、ルフィ達から借りる訳にもいかない。我慢するか、「今から知り合いの店に行くんだけど、どうする?」何だか緊張した声で頭ツンツン男が話しかけてきた。店、食べ物があるかもしれない。


「行きます!」
「はっはっはっ!じゃあナマエも一緒に行くか!」