ノイズ | ナノ


出会いは偶然が集まりあって必然になる、ローさんが読んでいた本に書いてあった言葉だ。(おんぼろ)病院に入院して二週間経ち、ローさんの腕も驚くほどよくなり、もう退院してもいいらしい。「長かったね」なんてベポやキャスケット、ペンギンと話したが、ワークはただよかったとだけ言った。普通なら何も思わないところなのだが、あたしは何故か違和感を感じてならなかった。ワークにも長かったね、と言ったのに返答がよかっただけなんて、おかしい

ワークは有名なコーティング屋を探し当てたらしい。名前をいうとローさんもキャスケットも、ペンギンもワークを褒めた。あたしはなんだかワークが褒められるのに不快に思ってムッとした表情をしたのか、ローさんはわあたしを見てくすりと笑う。「行くか」ローさんの刀を渡され、あたしはローさんの隣についた。ローさんの隣が、居心地がいい。それにコーティングは三日前に始めていたらしい。あと二日ぐらいで終わる、ワークは言った。


「ナマエ、なんだよさっきからムスムスしてよ」
「別になんでもないよ」
「……あ!あれだろ?自分より後輩が先輩達にちやほやされて、嫉妬してるんだろう」
「キャスケット、それ以上なんか言ったら、殴って蹴って海に落とすからね」


ワークは笑っていた。キャスケットはペンギンの後ろに行ってあたしから逃げ「悪い悪い」とそう思っていない癖に。
少し歩いたとこで、ワークはあたしの肩を叩いて、暗い路地に連れる。ローさんもついて来ようとしたが、ワークがそれを拒む。ローさんもあたしも、それに眉を潜める。キャスケットもペンギンもおかしくないか、と耳打ちしてローさんとコーティング屋に会いに行った。


「…なに?」
「単刀直入に聞いていいっすか?」
「…どーぞ。あ…でも告白とかはダメだよ」
「はは、しないっすよ」


口は笑っているのに顔は表情は笑っていないよ、そう言うとワークは銃を取り出してあたしに向ける。「あんたは一億だから殺しておけば、なんかいいかなって」その顔だ、その顔がアイロスに似ているが、同一人物ではないことは確かなのだが、とても似ている


「あたし殺したら、ローさんの船に乗れなくなるよ?」
「別にいいんですよね。他に乗る船なんて何隻もある。」


あたしもワークを殺そうと戦闘体制にはいると、ワークは銃をもうひとつ出す。「二刀拳銃というわけか」後ろから「ROOM」と声が聞こえ、振り返るとローさんが不敵な笑みを浮かべ「ワーク」と言った。ワークは舌打ちしてあたしに向かい走ってきた。「ナマエ!」やれ、そう言っているのだろう。「スピード」ワークの背後に回り銃を二刀奪って頭、背中に突き付けた。ワークもローさをの能力が怖いのか、両手をあげる。ローさんが刀を下ろしてワークに近づくと彼の名前を呼んだ。


「バレリーニ・ワーク。アイロスとは兄弟だろ?兄の言うことをよく聞くいい弟じゃねーか」

「まあ、アイロスは、やらせてもらった。五千万ベリーは頂いたぜ、弟さんよ」


ローさんがそういうと、ワークは奥歯を噛み締め悔しそうな表情でローさんを睨んだ。ピラリと、ローさんがあたしに見せてきた紙にはワークの写真があり、賞金額にはアイロスと同じ五千万ベリーとあった。五千万ベリー、か


「…ふん、まあいいや。ナマエの能力も弱点も大体わかったし、じゃあね。復讐してやるよ、トラファルガー・ロー」


にやりとワークが笑う。腰につけているポーチから煙玉のようなものを地面に放り投げると、火薬の匂いがする。ローさんはあたしに近付いてくるが、あたしは盾を出せる。「ローさんそこにいて!」二つの盾を出したこともないし、別の場所にも出したことがない。でも今成功するかなんて考えてる暇なんてない、死ぬかもしれないのに。


「シールド」