ノイズ | ナノ


わたしは思ったことがふたつある。ひとつはワークに対してあまりいい好感を持っていない事と、やはりアイロスはここに来ていたことだ。だがそこまで賞金は上がってないように見えるが。お医者さんと話をしているうちにローさんはぐっすりと深く寝ていて、病室から出た。
外に出てベポやキャスケット、ペンギンを待つ。「ナマエ!」遠くの方から声が聞こえズームを使うとベポが走ってこちらに向かって来ていた。キャスケットとペンギンはいない、ということはワークと一緒にいるのだろうか


「ベポ!」
「キャプテンは!」
「今寝てるよ。なんか疲れてたのかな」
「キャプテンはいつも疲れてるよ!」


ベポの野生的な本能なのか、思った事は素直に言う。それに、特に違和感や怒りを覚えた事は一度もなかった。むしろそこがベポのいいとこなのだろう

ローさんにあたしが感じたワークの事を言うか迷い、言おうかと思った時にベポだ。尚更言えないし、ベポはワークが好きだ


「骨、軽く折れてるから大丈夫なんだって。最低全治一ヶ月みたいだよ」
「キャスケット達から聞いたよ!骨折したのがナマエじゃなくて本当よかった」


雨はベポを打ち付けていた。「ローさんのとこ行こうか」ベポは笑顔になり頷いき、服に染み込んだ雨などお構いなしに病院に入って行った。ローさんの病室を開けるとまだ寝ているローさんに、ベポは近くにあったイスに座り、大きな体を傾けローさんをじいっと見る。一瞬、ローさんの片腕が動いた「キャプテン!」あたしが慌ててベポの口を抑えると不機嫌な顔をしたローさんがあたし達に「うるせぇ」とかなりの低い声で言う。しかしベポは気にしていない様子でよかったよかったとひたすら言った


「ナマエ、医者なんて言ってた!」
「全治一ヶ月だって言ってたから安静にしてなきゃね」
「一ヶ月か…2、3週間でいいな。ベポ、雨が止んだらキャスケットらに言いに行け」

「あ、それあたしが行きたいな」


心底嫌そうな顔をしたローさんとベポ。ベポは理由はわかるがローさんが何故そんな顔するのかがわからない。「いいか。お前が行くとな、どこを歩いてるかわからないアイロスがいつお前を攻撃してくるかわからないんだぞ」ベポもうんうんと頭を上下させ、ベポは下に頭を振る途中「あ!」と「じゃあおれとナマエ一緒にいけばいいんじゃない!?」「あ!そうだね」ローさんがしばらく黙った後、しょうがねえなあと言い、雨が止むまでローさんとベポとあたしで他愛のない話をする


「あ、晴れてきたよ」
「ホントだ!じゃあ行こうナマエ!」


ローさんにに手を振り病室、病院を出る。なんせこの病院は古い建物だし患者はローさんの他にいなそうだったので走ったってどうもしなかった。
病院を出ると、いきなり二の腕が捕まれ体ごと引っ張られる。ベポ、と声を出そうとしたが口を隠されそれもいけなかった「しゃべるんじゃねぇよ」ニヤリと笑う唇はあたしの知り合いの形と色をしていた


「キッド」
「やっと二人きりだな、トラファルガーは病院に入院中か?」


ベポはあたしに気づいていないのだろう。きっと野性的本能が周りを見えなくさせているのか、ベポは遥か遠くに言ってしまった