ノイズ | ナノ


「船長!ナマエさん!大丈夫ですか!」


ワーク、キャスケット、ペンギンの3人が人ごみの中からあたし達を見つけ、駆けつけてきた。ワークを見た途端、あたしは何故かぞっとする。理由は自分でもわからないが、なぜかドクドクと血管から血が流れているのがわかるぐらいに、神経を研ぎ澄ましている。「すごい怪我だ…」ワークがローさんの背中か脇腹を触り「骨、折れてますね。」とだけ言った。キャスケットは顔面蒼白にして、ペンギンは、キャスケットと病院を探してくる、と離れていった。おかげでローさん、あたし、ワークだけになってしまった。


「ナマエさんに怪我なくて、よかった」
「本当だな。…いてェな」
「ごめんなさい」

「…あ?」
「え?」


ローさんがあたしに刀を無理やり差し出して、あたしの頭を思いっきり叩いた。身構えもしなかったので、あたしは目に涙を溜め、睨みながらローさんを見ると、ローさんもあたしを睨んだ顔で見ていた。まずかった、かな?


「いいか、今回おれはお前を護ったんだから、今度はお前がおれを護れ。いいな。」
「は、はい…」


バタバタとキャスケットとペンギンが「病院、ぼろっちいけど見つかったぜ!」キャスケットが額に汗をかきながらローさんの肩をもって立ちあがらせた。「よかったっすね!船長!」ワークも同じようにローさんの肩をもった。





「じゃあ、おれ達早めにコーティング屋探してくるから!おいワーク、お前が一番頑張んなきゃいけないんだぞわかってんのかオイ!」
「痛い痛いすみませんっす!じゃあ船長とナマエさん、また!」


病院の部屋を出て行ったワークと、キャスケットとペンギン。病室にはあたしとローさんとお医者さんだけ残った。見た目はわりと悪い病院ではないが、所々あるポスターは色落ちをしていたり、ガラスには汚れが目立ち、まずお医者さんの白い服はポツポツと黄ばんでいた。お腹に包帯を巻いたローさんが服を着て、ベットに横になる。あたしは椅子に座って、ローさんを見降ろした


「なんか、ローさん見降ろすのって始めてかも」
「なんならいつでもおれを見降ろす事ができる方法教えてやろうか?」
「ううん。別にいい」
「……そうか」


「つれねえな」ローさんがはあ、と溜め息をつく。外に、ポツポツと雨粒が落ちてきた。最初はそこまでだったのに、段々雨粒の量が酷くなっていき、そして周りの音は一定の音が聞こえてきた。「雨だね」「そうだな」
ぐい、とローさんに腕を引かれ、そのまま倒れそうになるのを反射的に防止すると、ローさんはニヤリと笑う。


「そのまま倒れたら、面白かったのにな」