ノイズ | ナノ


「わあ綺麗…!」
「とりあえずワークがコーティング屋を探してからの話だな。それまで各自目立たないように好きな事やってろよ」


幻想的なこの島はシャボンディ諸島という。近くに海軍がいて、その先にはローさんが目指している新世界、意外に近いが遠い。目の先にあるのに邪魔者がいるなんて厄介にすぎない。
相変わらずあたしの隣にはローさんがいた。刀を離すまいとあたしが動けばローさんも動くし、あたしが海賊の芸に見とれて突っ立って走ってきた男にぶつかって転びそうになったのを助けたのもローさんだ。「わっおいしい!」女の人の声がした。海賊だろうか?女の人を見てみると、外にシュークリームが売っている。


「(おいしそう…)」
「ナマエ…、みろ。ユースタス屋だ」


がっつりした男性に、キッドとキラーが話し込んでいた。隣でローさんは呟くように「コーティング屋か…」と鼻を鳴らした。キッドも、新世界を目指しているから船をコーティングするんだろう。ローさんの敵は今、この諸島にいるハート海賊団以外の海賊が敵という事、つまり周り皆が敵という事だ。一般人はいるものの、やはり海賊が多かった


「違う道行くか」
「シュークリーム20個ください。」
「………お前…」
「ナマエじゃねぇかよ」


ローさんはあたしを軽く睨んだ後、キッドに顔を合わせないようにそっぽを向いた。「やっと着いたか。」「ナマエ、行くぞ。おいユースタス屋、しつこい男は嫌われる。女にも動物にもな。」キッドはローさんが嫌いなのだろうか、ローさんがキッドに対して何か言葉を発言すれば、背後から何かしらのオーラを出す。「何だとトラファルガー!お前はいろんな女と寝てる癖に」「ああ?なんて?もう一回いってみろユースタス屋」


「…ねえキラーはキッドといつも一緒にいてどう?疲れない?」
「…まあな、そっちは特に疲れる事もなさそうだな」
「うん、全然疲れないかな?でもキッドと一緒にいるのはキラーじゃないといけない気がするけど」
「…違いない。」


あたしとキラーが話していると、ローさんとキッドがこちらを向いていて、二人とも同じ様に背後からオーラを出していた。ローさんがあたしの腕を取ってずいずいとキッドと反対側へ歩いて行く。あたしはキッドとキラーに空いている腕を振った


「じゃあ、またね!」


キッドは少し手を振った。キッドとキラーが何か話した後、あたし達に背を向ける。またきっと会えるだろう。

ポケットにあるキッドから貰ったピアスを思い出した。片方の耳にしかにしかピアスは開けていないので、今付けているローさんのピアスの他にはつけられない


「あ、ねえローさん」
「…何だ」
「ピアス開けてほしいんだけど」
「開いてるだろ?」
「違う違う、もうかたほ…」


ヒュンと風が切れる音が聞こえ、一瞬思考回路が止まった。背中がコンクリートに当たり、首には誰かの手があった。金色の髪、見覚えのある顔立ち、ローさんの刀は宙を舞い、落ちる。足で、相手の懐に蹴りを入れようとするが、それを腕一本で防御された


「アイロス…!」
「久しぶりだねナマエ。」
「ROOM」


あたしとアイロス、そしてローさんがサークルの中に入る。「シャンブルズ」急に体が軽くなったと思った瞬間、コンクリートが砕ける音が聞こえる。音が聞こえる方を見ると、アイロスと、さっきまであたしが居た場所にいるローさんが砕けたコンクリートの中にいた。周りの人達はローさんの名前と、アイロスの名前、そしてあたしの名前まで口にしている


「ローさん!!」


コンクリートとコンクリートが擦れる音、パラパラと小さいコンクリートが落ちる音、ローさんが血を吐き捨てる光景、ローさんは生きている。前と違うようなアイロスを見るのは初めてではない。キッドに殴られた時の、あの腰抜けヘタレ野郎ではない。やる気と自信に満ちた顔だ「やってくれるなバレリーニ屋」遠くの方でキッドとキラーが面白いそうにやってきた。


「トラファルガー…何やられてんだ?面白い絵図だなあ、キラー」
「ランス!」


アイロスに攻撃をするが、それを避けずに背中でそれを受けた。「!(なんで避けない?)」おかげでローさんには当たらなかったが、おかしい


「ナマエ、ここで暴れるな!いいか、逃げるぞ!場所が悪い!」
「逃げられるてでも?」
「……シャドー」


黒い壁がアイロスを包み込んだ。ローさんは服についたゴミをはたき、あたしの頭を軽くポンポンと叩く。キッドはアイロスを見た事があるから、少し様子がおかしいのに気づいたと思う。ローさんの骨が折れてないといいけど


「クソ…思いきりやりやがって殺す気かアイツ」
「ローさん、大丈夫?」
「ああ。心配するならおれに感謝しろよ」


ローさんは刀を拾ってそれをあたしに渡す。まだあたしの技の効果は続いているが、もうそろそろ切れるだろう。ローさんは動けるようなので、あたしはローさんを引っ張り人混みの多い中に入っていった。