「いい湯だ。ナマエ、そのままやってろ」 「……あたしも早くお風呂入りたい!ローさん長い時間はいっ」 「ロー!お料理持ってきたよー!」 何で今のタイミングでムーアンが来るんだ。「きゃあ入浴中!?」振り返るとムーアンの目の光り方がさっき会った時より輝いている。あたしが睨むとムーアンはそんな睨み気にしないようにローさんに近づいた。 「やだ細いのに意外に筋肉あるのね。かっこいいわあ」 ローさんはそんなムーアンを無視している。 だるそうに横目でローさんはあたしを見て、「もう出る」と一言言った。お風呂が外にあるって意外に大変だ。着替えも早くしなくちゃいけない。「おいナマエ、女。おれを隠せ」頭をごしごしと拭いている。ムーアンはすごい速さでローさんに近づいてローさんを隠すわけでもなく、がばりと抱き着いた。 「………」 「以外にがっしりタイプねえ!」 「…離せ。」 * 「ナマエ…、機嫌直せ。おれが悪かった」 「ローさんのせいじゃないんだから謝らなくていいよ」 ムーアンがローさんに抱き着いた回数十回以上。キスしようとした回数三回。ベタベタとローさんに付き纏うの前提の話しだ。夕食を食べてる時もベタベタベタベタと。 寝るから帰るわ、また明日ねロー、最後にハートがたくさんつきそうな口調でムーアンは帰って行った。いつになくイライラした。こんなの今まで生きてた中で初めての経験だ。部屋のベッドに座っているとローさんが部屋に入ってきて、あたしに謝る。 ローさんが謝る事なんてないのに 「…ナマエ…、」 「え」 いつもの帽子をしてないローさんの雰囲気はいつもと違った。ふわりと抱かれる感覚に一瞬頭が回らない。 ローさんの肩腕が肩に、段々ローさんに押されてベッドに寝かされた。「ローさん?」名前を呼んでも返事が無い。伝わるのはローさんの息遣いだけだ。あたしの耳のピアスを触ると、こめかみに軽くキスをされる。耳と顔が熱くなると、ローさんがフフ、と笑った。 「さて、どうするかな」 ローさんがあたしの上にのしかかってくると同時にお腹の空洞感から、何かでそうになる。夕食はムーアンが作ったからと意地でも少ししか食べなかったからだ。 ああやめて、やばい。 「ローさん、」 ◇ |