ローさんの船に乗り、キッドから貰ったものを開けてみると、あたしの手のひらには金色のピアスが二つ、広がった。ローさんはそれを取って、空の太陽へ照らしかざしてみると、ふっと笑ってあたしの手のひらに戻し、頭をがしがしと撫でまわすと「休憩でもして気分転換してろ」といって自室へ戻って行く 「ローさん、何であたしを船に乗せたの?」 「…言ったろ。おれはお前に命を賭けた、おれはお前に命を託した!」 「……!そ、それは、まだ、あたし」 「おれは自分自身でお前を買った。だから乗せた。まだ何かあるか?」 下を向くと、ローさんが歩く音が聞こえた。キッドから貰ったピアスをポケットにいれ、あたしも歩いた。 海を見ると、太陽の光に反射して、海がキラキラと光る。そろそろ、決意しろ。誰かが、あたしに言うように感じる。(ローさん、かな)あたしはローさんに命を賭けられるほど強くない。自分勝手な、死神だ。 「ナマエ!」 「ベポ…あ、アイスだ。あたしも食べたいな」 「結局やっぱり船に乗ったね!」 「あ……うん」 ベポが食べかけのアイスをあたしに渡して、海を見た。キレイキレイとはしゃいでいるベポは、たまにほんとによく喋る白熊だなと、少し馬鹿にした気持ちになってしまう。 「キャプテン、ナマエの事好きなのかな?ナマエはキャプテン好き?」 「え…」 ベポを見ると、いつもの可愛らしい顔であたしを見ている。 好きとか、嫌いとか、そんな感情ローさんに対してもっていない、と思う。ただ少し責任を感じているだけだ。 「キャプテン、ナマエを信用してるんだね!おれはおまえにいのちをたくした、だって!」 「聞いてたの?」 「ううん!聞こえたの!いいねナマエは、ずっとキャプテンを護ってあげられるんだもんね!」 「……!」 思わず苦笑いをしてベポを撫でると、ベポは気持ちよさそうに目を細めた。あたしは、死神だ。死神だった。 「あたし、人を護れるの、かなあ。」 「そうだよ!」 「あたし…もう死神じゃない、よね?」 「何で?ナマエは死神じゃないよ?それに、死神だったの?」 ローさんの自室へ走る。ベポは「ナマエー?」とあたしを呼ぶが、あたしはひたすらローさんの自室へ走る。鼓動があつい。「クリア」ローさんの部屋に入ると、ローさんはベットに仰向けになって寝ていた。 「ローさん。」 返事はない。寝ているんだろう 「あたしもう、死神じゃないんですよ」 今までの光景がフラッシュバックされる。あたしが死神と呼ばれた理由は、海賊を言葉一つで殺していくからだ。時には一般人だって依頼されれば殺していた、全ては生きるためと、礼をされるためだった。でもいつしか特定の人間から嫌われ死神と呼ばれるようになっていた、のだ。 「あたしは、人を護る力があるんです。ローさんに命託すって聞いて、正直責任感じました。死神が命を護れるかって。でも、きっともうあたしは死神じゃなくなったんですよね、あの島を出てから、普通の人間になったんです、よね」 「…ああそうだ。お前はもう、おれの船のクルーだ。お前はおれを護る、大切なクル ◇ |