金髪の男が飛ばされ、ヒラリと紙が宙に舞う。それをキッドが拾うと、瞬間キッドがあのいやな笑みをあたしに向けてきた。理由は知らない。むしろ何故笑ったのか知ってたら逆に怖いくらいだ。「みろ」キッドが見せてきたのは指名手配、あれ、この金髪の人じゃん 「バレリーニ・アロイス、賞金首5000万か」 「お前は3億の…!くそ、何だ、今日はツイてると思ったのによお」 「……あ」 どうした、とキッドが振り返った。金髪、アロイスも刀を握りしめていた手を緩めた。 「ううん、何でもない。おじさん大丈夫?」 「いや…おれは別に、大丈夫だ」 「ちょっと傷見せて!」 結構深い。キッドがアロイスに近付いて一発殴った。アロイスは顔を真っ青にして逃げ出して行き、キッドの高笑いが空に響く。そんなに笑って顎がはずれちゃうんじゃないかと思うぐらいに。 「血が止まらないね。どうしよう」 「大丈夫だ、心配しなくていいぞ嬢ちゃん」 「そんな事できない…そうだ!あたしの知り合いに外科医がいるんだ!きっと治るよね!」 「ちょ、おい嬢ちゃん、」 腕を肩に回すとおとなしく「悪いなあ嬢ちゃん」と唾を吐きだすように言った。いえいえ、身長差があるからか、少しおじさんがひざを曲げる形になった。それにちょっと、重いな 「…うわ、」 急に体が軽くなったと思ったら、キッドがおじさんに肩を貸している。以外に優しいな。まああの島でも優しい感じは、ちょっとしたけど、この顔じゃあなあ 「手伝ってやる」 ◇ |