ノイズ | ナノ


船に乗って5日過ぎた。皆とも仲良くなれたし、なによりキャスケットとペンギン、ベポ、そしてローさんと冗談も言い合える仲になれた。そして5日も過ぎれば船の不満も出てくる。
ベポが部屋から出てきて、あたしの隣にやってきた。


「やっぱり…なんか足りないよね」
「何が?ナマエがそんなに真剣におれに言うのってなんかあるよね」
「…花!花がないよ!この船殺風景だよ!」
「殺風景ってこういう風景の事いうのかな?別におれは」
「ベポ!もっとカラフルになったら朝起きるのが大好きになるよ!」
「おれ朝好き」
「もっと好きになる!」


ベポがあたしの腕を掴んでぶんぶん振りまわして「じゃあおれ花ほしい!」と言ってきた。でも今は船に乗っていてお花がありそうな島なんてない。栽培、なんて難しい。それにここに土とかあるのかな?


「何してんだてめぇら」
「あ!キャプテン!」
「あ!ローさん!あたしがあげた花あるかな。それと土あるかな?」
「お前ら何しようとしてる?」
「花栽培したいの」
「花?そんなもんいらねえよ。さ、持ち場につけ」


ベポが渋々持ち場に行った。あたしは持ち場なんてない。ほしいとローさんに言ってみたら、そんなんいらねえだろお前。酒も飲めねえガキが言ってんじゃねえよ。とデコピンをされた。


「ローさんは何もしないの?」
「は?何もって…本とか読んでる」
「船長らしくない」
「言ってろ言ってろ」
「つまんないなー掃除でもしよう」
「しなくていいぞ別に。どっかで寝てろ」
「だからそれがつまんないんです。なんかして遊びたいな」


ローさんが溜め息をついてあたしの肩をとんとんと叩いた。トランプするか、それともウノするか?多分、それしか出来ないのか、それしかないのだろう。でも寝るよりはいいので了解サインを出す。ローさんが微笑んで部屋来いよ、と誘った。


「はいダウトー」
「…お前よくわかったな。短時間でこんなにおれを苦しめる奴は誰一人としていなかった」
「あはは、島の皆でよくしてたからね」
「そうか。じゃあ次なにしたい」
「……飽きた」
「もうかよ。」


部屋は足を運ぶ所だけ本が避けてある。他の所には本が乱雑に置いてある。折り目ついちゃうよ。ふと見ると、ローさんの机にはあたしがあげた花がある。


「次着く島には花があるかなー」
「なんだ、もうおれの船にずっと乗ってる気か?」
「…あ、そうだね確かに」
「言わなきゃよかった…」
「でも楽しいからなあこの船…」


ドンドンドン、とドアが叩かれた。ローさんがあたしに何か言おうとしたのだろうか、少し開いた口から「うお」と声が零れた。「キャプテン!」ベポだ。ローさんが入れと言ったらベポが勢いよくドアを開いて


「島が見えてきた!」