井吹龍之介

「ねーむい」
「あんたわざわざそれ言いたくて電話したのか」
「ん、そう」
「俺は明日もバイトだから、切るぞ」
「ん、わりい」
「……なんかあったのか」
「……寝るんじゃないの」
「あんた、が……らしくない声してるから」
「ふ、井吹ってさ鈍感なのか鋭いのか時々分からない」
「……悪かったな」
「誉め言葉、だから」