ベルナルド・オルトラーニ


鳴り響く電話は止むことを知らない。僅かながら額に浮かぶ汗を煩わしげに退けるベルの姿に閃くものが一つ。唐突に自分の髪を結っていた紐を解き未だに電話へ付きっきりのベルに指で制止を命じる。ちょん、とそれはまあ可愛らしいレディがするように前髪を結わいてやれば電話を切った後に鏡を見るベルの、どんな表情を拝めるだろうか。