奥村燐
寒い、教室に戻ってきてそう言った燐君は全身びしょ濡れだった。クロと追いかけっこをして噴水に着地、って。くしゃみ混じりで言う燐君に吐息が一つ。ただでさえ気温の低い今日、そのままでは風邪を引くだろうということは容易に想像出来た。これ着ときなよ、タオルで燐君の髪を拭きつつ制服のブレザーを差し出せば素直に袖を通す燐君。でけえ、と。僅かしか出ない両手の裾を捲り上げつつ言われたそれに頭の奥がぐらついた。
寒い、教室に戻ってきてそう言った燐君は全身びしょ濡れだった。クロと追いかけっこをして噴水に着地、って。くしゃみ混じりで言う燐君に吐息が一つ。ただでさえ気温の低い今日、そのままでは風邪を引くだろうということは容易に想像出来た。これ着ときなよ、タオルで燐君の髪を拭きつつ制服のブレザーを差し出せば素直に袖を通す燐君。でけえ、と。僅かしか出ない両手の裾を捲り上げつつ言われたそれに頭の奥がぐらついた。