勝呂竜士
「あれ、坊どないしてん」
「何がや」
「何、て髪や髪」
「意味が分からへんからちゃんと言い」
「せやから髪、いつもピンで留めとったやん」
「……あれは奥村に貸したわ」
「へー、奥村君に」
「……なんやねんその顔」
「んー、なんや新鮮やなあて」
「せやから何がや」
「坊が髪下ろしとるんが可愛えなあて。日中とちゃうくて髪ぺったんこやしな」
「な、」
「なんて言うんかな、なんやわしゃわしゃ撫で回したいわあ」
「……か、勝手にせえや」
「へ、まさかのお許しやなんて」
「や、やかましいやろ許可しいひんとお前は」
「ふは、せやったら遠慮せんと撫でさせてもらうわあ」