井吹龍之介 あ、と口をついて出た音は井吹に聞こえたらしく、不思議そうな視線を送ってきた。ん、と目線だけで空を指せばそこには雲一つない空間にぽつりと丸い月が一つ。綺麗じゃねあれ、俺の言葉に井吹が小さく頷いたのが分かって妙に暖かい気分になった。 <│back│>