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七海建人


死ぬ前に呼ばれるなら名前が良いか、名字が良いか。そんな話題を高専時代に話したなぁと、思い返す。アイツは「アナタに呼ばれ慣れた“七海”が良いですね。死ぬ気もないですけど」なんて言葉を言っていたことをついさっき思い出して。遺体の引き渡しと共に思わず崩れ落ちそうになった膝を拳で叩いて耐えて耐えて、耐えてから呼んだその名前。

「建人」
「……っふは、合わねぇ。今更過ぎ。やっぱ、俺にはオマエのこと名前呼び合わねぇや」
「七海」
「七海」
「……っ、七海」
「おかえり。おつかれ」

一人呟く声が響く霊安室。強かに床へと打ち付ける膝の痛みは一生覚えておこうと思った。



今際の際にはあなたに名を呼ばれたい


Title by Garnet