×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




伏黒恵


「……起きた?」
「おきた」
「まーだ寝惚けてんだろ。もう少し寝とく?」
「いや。夕方から任務だから、流石に起きる」

冬のうたた寝から目が覚めた先でアイツが俺の顔を覗き込んでいた。どうかしたか、と言う言葉は飲み込んで問い掛けの言葉に首を緩く横にふる。俺の反応に頷きが返されて差し出された手に反射で手を伸ばせばそのままベッドから引き起こされた。

「軽くねぇオマエ?」
「……そ、んなことはねぇはず」
「虎杖は持ち上げんの苦労したけど」
「アレと比べんな、ばか」

他愛のない軽口の押収が妙に心地よく、目覚めたばかりの薄ら寒さは何処かに行っていたから。――…、呼んだ名に振り向くアイツの顔を想像しながら形作った音の心地良さに思わず瞠った目は見られてなきゃ、それで良い。



白昼夢のうす皮の向こう側


Title by Garnet