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奥村燐


「う、わ」
吐息混じりに呟かれた言葉に自然と頬の筋肉が緩む。ぱちぱちと音をたてて暗闇に華を咲かす線香花火を瞳を真ん丸にして見詰める燐君は以前にこんなことをしたことが無かったから今から楽しみだと、そう俺に言った。

「あ」
燐君の小さな呻きと共にそれまで辺りを弱く照らしていた明かりも落ち、暗闇が広がった。「なあ、」そう言って引かれた腕の先には燐君の手があって。

「来年もやりてえ、な」
こそりと耳元で囁かれたそれに俺の顔はだらしなくもふやけただろう。