「は?…クリスマスって、キリストの誕生日を祝うんだろ?オレら関係なくねえ?つかカトリックとかってむしろ敵じゃん。」

明日はクリスマスだよ、って教えてくれたはいいものの。
別に、何かする気もないし。

「あ、それにオレ明日仕事だわ。」

あ、目がまん丸になった。
かわいー。

「え!うそ!じゃあ明日は帰らないの!?」
「まあ、日付は越えるだろうな。」
「そんなあ…せっかくのクリスマスなのに…」
「なあナマエ、そんなにクリスマスとやらが大事なのか?仕事じゃないときはいつでも一緒にいるだろ?」

ちょっと口をとがらせてるナマエもかわいい。
「私も、別にキリストの誕生を祝いたいわけじゃないんだよ?けどね、家族とか、大切な人と過ごす日なんだよ!」
「それは、あれか?二人っきりでいちゃつきたいってことか?」
「な!何でそこまで飛躍するかな!………あーもう、…うん。…そう、なん、だけど。」

あーもーかわいい。何こいつ。

「わかったよ、なるべく早く帰るから。な?」
「うん!」


12月25日、午後11時20分。

「ティッキー遅いねえー」

ロードが脚をぷらぷらさせて椅子に座っている。
もうクリスマスパーティーは終わっちゃって、ティキの分のケーキとシャンパンが残ってるだけ。

それも冷蔵庫に入れてあるから、部屋にクリスマスの名残は見えない。ツリーとかは、やっぱり敵の方だから…ってことで自重。

そして私のポケットには、ティキへの小さなプレゼント。

早く帰ってこないかなあ、なんて思いながらそっとポケットの中の小包に触れた。


12月26日、午前1時35分。

ティキはまだ帰ってこない。

だんだん悲しくなってきた。
時計の針は、ゆっくりだけど確実に進んでいく。

「ティキ…」
口の中で呟いたら、もっと悲しくなった。

「ナマエー?ボクもう寝るからねー!ティッキー帰ってきたらボクの分って一発食らわしといてよぉ。」
「うん…おやすみ。」

せっかくのクリスマスなのに。
ティキ…早く帰ってきてよ。


「あー、疲れたー」

ドアを開けて入ってきたのは、待ち焦がれたその人。
「ティキ!お帰り!」
「おわ、ナマエまだ起きてたんだ?」

…あれ?なんだこれ。

「はーもう疲れた。さっさとシャワー浴びて寝よ。ナマエも早く寝ろよー?」

……。

「ティキ…」
「ん?」
「今日のこと…」
「え、何かあったっけ。」

………ひどい。

「何でもない!ティキのばか!おやすみっ!」
「えっ!?おいナマエ!」

「私眠いの!ついてこないで!!」

ばか。ティキのばか!
お仕事の前にちゃんと言ったのに。
クリスマスだから、パーティーしようって。二人で過ごそうって。

いくら興味ないからって、忘れちゃうなんて…!

自分の部屋に駆け込んでドアの鍵をかけた。ティキにはそんなもの何の意味もないのはわかってるけど。

ベッドにダイブ。
目の奥が熱くなってきた。

「…ったく、何なんだよいきなり?」
ついてこないでって言われたのはちょっとショック。でも本当に心当たりがない。

頭の上に?マークを浮かばせながら、何か飲むものでもないかと冷蔵庫を開けて……ケーキと、シャンパン(お、結構いいやつだし)を発見。

そのケーキにはチョコレートのプレートが乗っていて、そこには――

"MERRY CHRISTMAS!"

…………あ。

オレ、ほんとにバカだ。ナマエの言ったとおりだ。

何てことを。
踵を返してナマエの部屋に走る。
ドアノブを回すと鍵がかかっていて、それにさえ、ナマエの気持ちを感じた。

…どうやらオレは、気付くのが遅すぎたんだ。
ナマエがどれだけの思いでオレを待っていたのか。
どれだけの思いでこの日を待っていたのか。

開かないドアを通り抜けて部屋に入ると、ベッドにうつ伏せになったナマエ。

「ごめん。」
ごめんな、ナマエ。

「………ばか。忘れる、なんて。」

ベッドに顔を埋めてて聞き取りにくかったけどしっかり聞こえた。
「ごめん…」

覆い被さるようにベッドのナマエを抱きしめた。

「寂しかった、んだよ…」
まだオレの方を見てくれない。

「……」

抱いた腕に力を入れて、ナマエの首筋に顔を埋めて、そしてキスをして。

そしたらナマエがオレの下でごそごそと動くから。

「え…ナマエ、そんなに嫌…?」
それ、結構ショックなんだけど。

「……」

ポケットをまさぐって、コン、とベッドのサイドボードに置かれた小さな箱。

「これ、オレに…?」
「…クリスマス、プレゼントっ!」

また手を引っ込めて、枕をぎゅっと抱きしめた。

そんなところも、たまらなくかわいい。というか、愛しい。

微笑みながら(いや、ただ単に頬がゆるんでただけだ)、箱を開けた。それは、

「…指輪…」
「誕生日に、私もティキに指輪貰ったから…、……お揃いの、が、よくて…」

ますます枕をきつく抱きしめて顔を埋めるもんだから、どんどん声が聞こえなくなって。
けど、声が聞こえないのはそれだけじゃないみたいで。

オレは迷わず、指輪を左手の薬指にはめた。
そして、頑なに枕を握りしめているナマエの右手をとって、その薬指から指輪を抜き取る。

びっくりして顔を上げたナマエにキス。

「左手。いいだろ?」

「……うん、」

おずおずと左手を差し出した。

左手の薬指に指輪をはめて、その指を自分のと絡めれば、かすかに息をついてナマエがオレにすり寄ってきて。

だから、愛しいんだってそういうの。

ぐっとナマエの体を抱き寄せて、さっきよりも深く口付ける。

「…っは、ティキ…」

「ほんと、ごめんな。明日、プレゼント買いに行こう、な。」


End.


クリスマスってやっぱいいですね。何言っても何しても許される雰囲気!!
クリスマスマジックってやつですか(笑)
(それにしてもロードのしゃべり方がよくわからん…)


2010.12.22
2013.9.15:修正

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