LOVE, not Sympathy


先日、長い長い片思いの末、念願の彼氏ができました。

忍足、侑士。


「部活、お疲れ!もう帰れる?」
「ああ。……ナマエ、もしかしてずっと待っとったんか?」
「うん!…迷惑だった…?」
「いや、そうやないんやけどな。最近もう薄暗いし、1人で待つのは危ないんとちゃうか?」
「大丈夫だって!校内だし。」
「まあ…ええか。ほんなら帰ろか。」


ずっと侑士が好きだった。
侑士はもてるからいろんな人と付き合ってたけど、諦めたことなんて1度もなかった。

久しぶりに二人になった時、前より背が高くなっているのを見て、それだけのことでますます好きになった。

そして、告白した。

結果、思いは報われ、私は晴れて侑士の彼女になった。


帰り道。

侑士は私の前では口数が多い方ではないから、ほとんど私が話題をふって、それを発展させてゆく。

そのことが最近、不安。

告白したのも私。
話をするのも私。

もしかして、侑士は私のことが好きじゃないんじゃないかって。

私と付き合っているのは、ただの同情からなの……?

そんな疑問が次々に浮かんできては、重い塊となって心に溜まってく。

(私は侑士のこと、彼女になれたからって全然知らない……)
自然、並んで歩いていても、うつむきがちになってしまう。


「ねえ、…侑士、ってさ、何で私と付き合ってくれてるの?」

何か、知りたい。

ぽつりと口からこぼれ出た。

侑士と目を合わせるのが怖くて、うつむいたまま。

何が怖いのか――自分でも判らない。

「…何言うとん?『くれてる』なんて、そんな気持ちで俺はナマエと付き合ってるんやあらへんで。」

「………」

「…ナマエに好きや言われた時、正直、ほんまに嬉しかったんやで。今まで、そんな風に思える子っておらんかった。…俺はな、ナマエが好きやから付き合うたんや。」

「同情、とかじゃ、ない…?」
「当たり前やろっ」

バス停の街灯の下で立ち止まった。


「私、ずっと不安だったの…。侑士は、同情で私と付き合ってくれてるんじゃないかって…」

侑士が、私の目の前に立つ。
「ナマエ、自分知っとるか?俺はナマエより背え高いから、ナマエがうつむいとったら表情見えんくて、…不安になるんやで?」
「私も、侑士がどんな風に私を見てるのか、わからなかった…」
「……じゃあ、」

そう言うと侑士は、軽々とナマエの体を持ち上げ、ベンチの上に立たせた。

「これで、目線同じになったやろ?」
「…土足…なんだけ…っ」

一瞬、何が起きたのかわからなかった。
私の唇は、侑士の唇で塞がれてしまって。

侑士の左腕が私の腰に。
そして右腕は私の頬に添えられてた。

しばらくして離れた侑士。だけど私は恥ずかしくってうつむいたままで、そのままぼそりとつぶやいた。

「……関西人って、平気でこんなことするの?」

侑士のあったかい手が私の頭を優しくなでた。

「そら偏見やな。」
「大胆なんだよ侑士は。」
「そらしゃーないわ。…けど、ナマエだけやからな。」
そう言って、侑士は私を引き寄せる。

そして、耳元で囁いた。
「もう、何も不安がらんでええよ。ナマエが不安やったら俺も不安やねん。…もう、ほんま、好きや……」

きっとリンゴみたいに赤い顔してるんだろうなと思いながら、私は侑士の広い背中に腕を回した。


End.


初・侑士夢でした!なんだか最後のとこ拍手のと似てる……
実はこれ、旧サイトで別のお話として書いてたやつを書き直したものなんです。結構お気に入りのものだったので。あと一つ、そういうのがあります。
「目線同じ」ってやつが気に入ってます。中学生で178センチって、高いなあ。私が中学生の時なんか、150センチあるかないかだったのに(笑)
クールだけどやっぱり中学生、っていう侑士を書きたいです。


2010.12.13
2013.9.14:修正

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