「…らる、はっ…いいのか…?」

震える声と、小さな肩。

彼女は愛されることを知らない。
親に捨てられ、一族から追放され、そんなものを知る機会など一度たりともなかったんだろう。
それでも俺を愛してくれた。自分とは何の繋がりもない、赤の他人である俺を。
知るはずのない愛情を手探りで見つけてきては、戸惑いながらも俺に与えた。
俺が笑う度嬉しそうに笑う彼女はきっと、見返りなんて求めてない。
本当は愛されたくてしょうがないくせに。

「ラルはっ、本当に、本当にっ…私で、いいのか…?」
「……」
「お前には、お前の人生がある。お前の、お前だけの、未来だ。私はっ…お前の未来の邪魔、したくない…!」

逆に俺は、愛し方を知らなかった。好きで好きでしょうがないのに、上手く伝えられない。そうやって、今まで散々傷つけてきた。
でも、今は違う。

「じゃあ、逆に聞くけど、アンタは俺が居なくて耐えられるの?」

ひゅっ、と咽が鳴る音。
耐えられるはずがない。だって彼女は、俺を失うのを何より恐れているから。


「…俺は、ヨーコがいいんだよ」

ヨーコじゃなきゃ、駄目なんだ。


ああ、わかっているさ。この愛は、昔アンタから貰ったような、綺麗で優しいものじゃない。
小さな身体を組み敷いて、拒絶する口を塞いで、震える身体に触れて、めちゃくちゃにしたい。そんな欲にまみれた、汚いものだ。

ねぇ、アンタも気付いているんだろう?



「好きだよ、ヨーコ」



愛が欲しいなら、俺がいくらでもくれてやる。






---
(この腕をもいで、くれてやる)
(だから俺だけに愛されて)





ラル/サーナイト♂
ヨーコ/ヨーギラス♀

Fake Lover/♪初音ミク
ラルに対する感情が家族愛か恋愛か曖昧だけど絶対離れたくないヨーコと、ヨーコの葛藤を知りつつ絶対に離してやらないラル。




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