※家族パロ
「ただいまー」
都築が自宅の扉を開けると、ぱたぱたという足音と共に、小さな身体が飛び付いてきた。
「ぱぱー!おかえりなさぁい!」
「おう、ただいま皐月」
それが彼の娘、皐月の出迎え方だ。都築は皐月を両手でしっかりと受け止め、そのまま抱き上げた。常盤色の髪に付いた外跳ねの癖毛は、彼女がまさしく自分と妻の子であることを象徴するもので。思わず都築は目を細め、その頭を優しく撫でてやる。
「都築、お帰りなさい」
「ん、ただいま」
皐月に遅れて愛する妻…サヤが笑顔で出迎える。頬に優しくただいまのキス。最初は恥ずかしいと言っていた彼女だったが、今では嬉しそうに受け入れてくれる。エプロン姿なところを見ると、夕飯作りの途中のようだ。
「皐月ー、ママの言うこと聞いてちゃんといい子にしてたか?」
「うんっ!今日はね、ままのおてつだいしたのよ!」
皐月を抱えたままキッチンに入ると、香ばしい匂いがした。今日はカレーのようだ。さっきまで気にならなかった空腹の腹が急に騒ぎ出す。
「このサラダ、さつきがつくったの!」
「へぇー!良く出来てるな。凄いじゃないか皐月」
皐月がテーブルの上に乗ったサラダを指差し、得意気に言う。
子供にしてはやけに綺麗に出来たなと思っていると、キャベツ切っただけね、と苦笑したサヤがこっそり教えてくれた。
「さぁ皐月、お手伝いはもう充分よ。ありがとね。パパと一緒にお風呂入っちゃいなさい」
「はぁーい!」
都築が降ろしてやると、褒められてご機嫌な皐月はぱたぱたとバスルームへ駆けて行った。
皐月を見送り、「後で着替え持ってくわね」とこちらに背を向けて夕飯作りに戻ったサヤの隙を見て、都築はすすす、と彼女の側に寄る。
「俺は久々にサヤと入りたかったなー」
「なっ…!」
皐月には聞こえないようにそっと囁くと、サヤは大袈裟に肩をびくつかせた。
「皐月もそろそろ、妹弟ができていい頃じゃないかなぁ〜?」
「〜っ!もう!ばかっ!」
そう言って都築を押し返すサヤの顔は、サラダに乗ったトマトのように真っ赤だ。
付き合っていた頃と変わらない初々しい反応に、都築は素直に可愛いと思った。
馬鹿で結構。そう笑って、唇に触れるだけのキスを落とす。何年経っても変わらない、愛しい愛しい存在。
「ほらっ!皐月が待ってる!」
「はいはい」
まだ顔の赤いサヤに急かされ、都築は苦笑して身体を離した。相変わらず素直じゃない妻をもっといじってやりたいが、今は我慢する。
何故なら、付き合っていた頃にはいなかったもう一人の愛しい存在が、バスルームで自分のことを待っているだろうから。
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(幸せな日常)
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サヤ/カメール♀
都築さん/バンギラス♂(1682)