「まったく!どうして兄さんはいつもこう、面倒事ばかり呼び込むんだ!!」


周りに群がる悪魔達に銃弾を撃ち込みながら背後の兄、基燐に問い掛ける。


「全部俺のせいかよ!!」

「ああ、全部兄さんのせいだ!!」


青い炎を纏い刀を振り回す燐と、的確に悪魔に銃弾を浴びせる雪男。その二人が互いに背中を合わせ息を乱す。

何故こんな事になったのか。無数に群がる悪魔達を視界に映しながら雪男は一人、今に至るまでの経緯を思い出す。

悪魔の退治を任され部屋を出て早々に燐に見つかり何処に行くのかとしつこく問われた結果、勝手に着いてきた燐が自分達から離れ単独行動。それを追い掛け捕まえたかと思えば悪魔に囲まれ……うん、そうだ。やはり全ては兄さんが悪い。

一人納得し、深い溜息を吐き出す。が、それと同時に一体の屍がこちらに腐った両手を伸ばし襲い掛かってきた。


「く…っ!!」


すぐさま銃を構え屍の頭を狙う。然し、銃は無情にカチンッと乾いた音を響かせた。まだ弾はあったはず…と思い視線を向けた先には弾詰まりを起こした銃。


「雪男!」


雪男の銃の異変に気がついた燐が声を上げ背後の弟を振り返る。然し、それを好機と見た悪魔達は一斉に二人に襲い掛かる。

もう駄目か…雪男が絶望感に苛まれ目を閉じた。刹那、ドッという鈍い音が響き眼前に迫っていた屍が前のめりに倒れる。何が起こったかまるでわからず、ただ呆然とするばかりの二人の周りで次々に悪魔が何者かの攻撃によって消滅していく。


「これはいったい…」


小さく呟いた瞬間、耳につけていた無線にザザッとノイズが入った。


『迷子の迷子の子猫ちゃん。無事かな?』

「苗字さん!?」

「名前?」

『二人が見える位置にいるから。とりあえず、そこで動かずにじっとしてなさいな』


無線がそこで途切れると再び悪魔達に攻撃が再開された。高く聳えるビルの屋上で、スコープ越しに悪魔を狙う名前が小さく口角を上げ笑みを浮かべる。普通の人間ならばどんなに目が良くても狙えないであろう距離から遠距離射撃で悪魔達を次々に殲滅していく。


「まったく、好奇心旺盛なお子様達の面倒もなかなか大変だねぇ」

「まあまあ、そう言わずに。子供嫌いな訳ではないでしょう?」


背後から聞こえた声を聞き、振り返らずに「まあね」とだけ答えた。背後の男、基何とも目に痛いピンク色を纏った悪魔…学園長のメフィスト・フェレスは名前からの返答を聞くなりククッと喉を鳴らして笑う。


「素直じゃありませんねぇ、貴女は。好きなら好きと言えばいいじゃないですか」

「は?誰に?」

「私に」

「うん、意味わかんない」









、っていうか…
(何処から湧いたの?)(貴女の居る場所なら何処へでも現れますよ☆)(キモイ、うざい、ストーカー)








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