メカクシ団2 | ナノ

これって強制連行じゃない?

母さんを殺してから1ヶ月経った。嘘か本当か。なのに、私は逮捕されない。嘘、本当?何故ならば、無にしたから。あるものを、ないものに。私って、結構狂気?死んだのに忘れてる、亡骸を見て笑ってた。嘘だけどさ。はは。

デパート内をふらり歩く。特に用事があるって訳でもないけど、本とかパソコンを見ようかな。暇だし。フードを被り、スタスタと歩いた。

「ねぇ、一緒に遊ばない?」

途端、がしり、腕に力がかかった。うわあ、面倒パターンきたよ。いやだな、私男だよ?女に女とか、なに、そーいう趣味?って言っても仕方ないか。まさか私が女だとは思うまい。

「ごめんね、用事があるんだ」
「えぇ、いいじゃない」

しつこいなあ、うざいなあ。こういう奴、ぐちゃぐちゃになればいいのに。私の中の狂気が嗤う。流石にしないけどね。

「俺さあ、アンタみたいな奴、嫌いなんだよね」

手っ取り早い方法を行使する。嘲笑を浮かべる私に、憤怒する女。怒りに顔が真っ赤って、こーいうのなんだ。ていうか、声かけなければこんな事にならなかったのに。

「な、なんですってぇ!?」

うざい、ぴーぴーうるさい。 鳥かよてめーは。ほら、死に際に死にたくないとギャンギャン命請いをするヤツとか、負け犬の遠吠えのような。眉間に皺がよる。こういうの、嫌いなんだ。彼奴、思い出しちゃう。だから、無視して去ることにした、ら。

「謝りなさいよ!」

謝る価値ないんだけどなあ。事の発端は君なんだから、と自己解釈と罪を擦り付けて。そのかわり、重罪なら背負ってる。

「………」
「なんとか言いなさいよ!」

だんだん周りがざわざわする。目立つの嫌いなんだけど。女って本当面倒くさいよね。無駄に声が高くて響くし、しつこいから。仕方ない、そうくるならさ、

「ひっ、目が、あ、かい…?」
「いい加減、うざいんだよね」

小さな悲鳴が聞こえた気がする。だけどいいや。全部なかったようになるんだから。

ほら、消えろよ。

閉じた目を開けば、さっきの景色はなかった。

「ふう、」

一件落着と安堵していると、気配を感じる。これは、1ヶ月以上前にあったあの青少年の。あとは、知らない。ただ、面倒事になった。たぶん、能力者たちだろうから。厄介事には巻き込まれたくないんだけどねー。そうもいかない、甘くないというのが現実で。

「お前、ちょっとこい」
「お前この間のヤツじゃん」
「……………」
「…知ってるのか?」
「1ヶ月以上前にねー」

ほらほら、早速だよ。予想はしてたけどさあ、やっぱりこうなるのって嫌だよね。嫌な予想は当たってほしくないというか。多分、能力について根掘り葉掘り探られるんだ。どっか逃げ道ない?それか現実逃避したいなあ、直ぐに。ていうか、私のこと仲間に言ってなかったんだ。意外。

「大丈夫?」
「…………」

ああ、やだなあ。コイツの目、似てるんだ、自分と。陰り濁った眼。一筋の光さえ入らない暗闇。

「カノ、早くしろ」

何、やっぱりこれはお決まりの展開、お持ち帰り!ですか。行くなんて言ってないんだけど。関わりたくないんだけど。私の事無視してるって、アレだよね。その人の意思は関係なく連れ帰る強制連行みたいな。もしくは誘拐?いやいや、如何にも下手くそそうな連中だよ、有り得ない。というか、私を離せ帰らせろ。

「帰りたい」
「あはは、無理だよ」

ですよねー。えー。うん、やっぱりこれ、強制連行だよね。

関わりたくなーい。

これって強制連行じゃない?