目の前にある机の上には、桃だけが入ったカゴ。その向こう側には、桃を頬張る人。いつも、桃を食べている彼。相当の桃好きなんだろう。

「ジュダルって、桃好きだね」
「ああ、そうかもな」

手と口は休むことなく動くジュダル。それを肘をつき、片手に魔法小説第7巻を持ち見つめる私。

よく食べるなあ、と感心する。私なら2個食べたら十分であろう桃を、どんどん消費していく。一体胃にそんな量が入るのだろうか。もしかしたら、他に桃が入るところがあるのかもしれない。

「ジュダル、服よごしてるよ?」

どうやら彼は果汁がボタボタと服や体に落ちようが関係ないらしい。ほったらかしだ。しまいには、

「ああ?そんなもん、服ぬぎゃいいだろーが」

なんて言ってのける。もう少し神官という自覚や、礼儀作法はないのか。仕事もほったらかしで何処かにふらりと消えていくし、戦争にしか興味がないとは聞いて呆れる。

「品がないよー」
「んなもんどうでもいーだろ。俺は戦争ができればいーんだよ」

そう言って、ようやく桃を食べることをやめて服を脱ぎ始めた。

「なっ、女の子の前で上半身裸にならないでよ!露出狂!」
「ちっせー頃一緒風呂に入ったし、一緒に寝てるからへーきだろ」
「そういう問題じゃなーい!」

デリカシーのないヤツめ。今は青春真っ只中の性とかに関する意識が強まるお年頃なんだよ。それに、肌は白いし、顔は整ってるし、髪も瞳も綺麗でかっこいいのに。

「そんなんだからモテないの」
「はあ?意味わかんねー。俺はお前がいりゃいーんだよ」
「っ、」

最悪。今絶対真っ赤な気がする。頬が熱いしドキドキする。くそう、ジュダルのクセに。なんだかよくわからないけど、恥ずかしいような悔しいような。顔を上げれば口角をあげ意地悪く笑っているジュダルがいた。

「…確信犯」

不覚にもジュダルがかっこいいと感じたことは絶対言ってやらない。そう心に決めた。

*****
よくわかんねー。
何がしたかったんだろう。

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