テニスの王子様 | ナノ




幼馴染でずっと一緒にいて、中学生になってもそれは変わらないって思ってた。
それに小さい頃にずっと私と一緒にいてくれるって雅治に言われて、私はずっと信じてきたけど、我ながらバカらしいと思った。

中学生になって私の幼馴染についた異名は「コート上のペテン師」…なんて彼にピッタリな異名だとも思ってしまった。
噂話とかではよく話は聞くけど、なんだか仁王に騙された、とか遊ばれた、なんて彼の軽い噂を耳にする度に何故か心が痛んでしまった。


「もえ、ごめんけど今日先に帰ってて!」

「あー、うん。わかったー」

いつも一緒に帰ってる友達にそう言われて一人で放課後の校舎の廊下を歩いていた。
人通りはずっと少なくいつものように女子の黄色い声が聞こえてくると思って、目線を移してみるとテニスコートが見えた。
テニスコートには彼がいる、そう思うと歩く足取りは自然と早くなっていた。
同じ学校にいても彼と話すことは一度もなかった。いや話そうともしなかった。



「もえ、ごめんけどこれ仁王さんのとこ持って行ってくれない?」

「え…いや、お母さんが言ってよ…」

お母さん今忙しいのーと言いながら私に紙袋を押し付けてキッチンに戻って行ってしまった。
いやだな…バッタリ雅治に会ってしまったらどうしよう。でもお母さんに怪しまれるのも嫌だったから仕方なく雅治の家に向かった。
時間もまだ早かったから雅治は部活中かな、もし雅治が出たらどうしよう、そんなこと考えてたら気がついたら雅治の家の前にいた。


ドキドキしながらインターホンを1回鳴らす。

「はい」

「あ、もえ…です…お母さんから…預かり物で」

「わかった、すぐ出る」

インターホン越しじゃ誰かはわからなかったけど、おばさんではなさそうだった…
ガチャと扉が開いて目を向けると…そこには雅治が立っていた。



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