「っバカっ!!」
「なんだよぃ!いきなり」
「いい加減察しろ!バカっ!」
「バカバカって何だよぃ」
「ブン太のこと好きだって気が付いたから避けてたのよ!」
あぁ、こんな形で伝えるつもりなんて一切なかったのに、ヤケになってこんな形で伝えてしまって本当可愛くない女だと思われても仕方ない。
そんなことを思っていると気がつけば涙が流れていた。
もうなんでもいいやと思いキッとブン太を睨みつけると気のせいか、ブン太の顔が赤くなっているように見えた。
でももうすっかり暗くなっていたので気のせいだと思うしかなかった。
「おい…それ本当かよぃ」
「こんなヤケになってるのに嘘なんて付くと思ってるの?何年一緒にいるのよ…」
もういいでしょ、理由伝えたし離してよ。と言うとぎゅっとブン太の手に力が強くなる。
「何よ!もういいでしょ!本当に離してよっ!」
「ちゃんと俺の返事も聞けって」
「嫌だ!聞きたくないし、分かってること今更聞きたくないっ!」
「だから聞けっての!」
そうブン太に怒鳴られてわけがわからなくなってその場にしゃがみ込んだ。
離して、もう嫌だ…と涙と共に言葉があふれてくる。
「俺さ、」
「っ…」
私の初恋も大事だった幼馴染もこれで失うことになるのかと思うと耳を塞ぎたくなったのに、ブン太に片手を掴まれていたためそれは叶わなかった。
「ずっともえと一緒にいることが当たり前だって思ってて、いきなり避けられて意味わかんなくて…聞きに行こうってずっと思ってたけど、俺…家の前に行ってもなんて声かけたらいいかわかんなくってよ」
私だってブン太と一緒にいるのが当たり前だって思ってたよ。
「そんで色々考えて…気づいた。」
もうこれ以上は聞きたくないって。そう思ってぎゅっと目をつぶるとふわりと甘い香りがした。
目を開けると赤い髪の毛が目の前にあった。
「ブン…」
「俺も…もえのこと好き」
「えっ……嘘」
「こんな状態で嘘なんて言うかよぃ…何年一緒にいるんだよ」
目の前のブン太が何を言ってるのか本当に意味がわからなくてポカンとしてしまう。
私の顔を見てブン太はプっと吹き出す。
「な、何よっ!」
「すっげーマヌケな顔してんぞ!」
ハッハッと笑われて少し恥ずかしくなったので鳩尾を殴って逃げる。
でも私の願いは叶わずすぐブン太に捕まる。
「ちょ、離してよっ!」
「もえ、好き」
ずるい、ずるいよ…バカブン太。
長い月日が終わる 幼馴染じゃなく、これからは恋人としてよろしくね。
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