テニスの王子様 | ナノ




「もえ、何怒ってんの。顔怖い」
「怖いって何よ!それに怒ってないっ!」

そう言ってラケットを思いっきり振ってサーブを打つ。

「何かあったの?」
「…意味わかんないこと言われたの」
「意味わかんないこと?」
「何も事情知らない人に、誰かさんが私のこと好きだと思うって訳わかんないこと言われたの!」
「それって丸井くんのこと?」

えっ、っと驚いて友達の顔を見るとあんたわかりやすいもん。と言われた。
それから練習に集中できず、ずっとモヤモヤしていた。
ブン太が私のこと?そんな訳ないじゃない。
ありえない、絶対にありえない。


「ただいまー」

たくさん考えて頭を使ったからか、とても今日は疲れた。
家に帰ってゆっくり休もうと思ってお風呂に入ろうとしたらお母さんに紙袋を渡された。

「何、これ?」
「ちょっとお母さん手が離せなくてこれ丸井さんのお家に持って行ってほしいの」
「え、やだよ。」
「もー、昔は喜んで行ってくれたじゃない。何で最近行かなくなったの?」

お母さんに聞かれるが、答えるのも嫌だったので静かに紙袋を受け取り外に出た。
ブン太の家は本当に近くで小さい頃はお互いの家に遊びに行っていた。
でもこうやってブン太の家に来るのは本当にいつぶりだろうか。

家の前に着いたまではよかったが、インターホンを目の前に戸惑っていた。
これでブン太が出てしまったら…何を話せばいいんだろう…

「もえ?」

声をかけられ振り向くと…そこには学校帰りのブン太がいた。

「ブ、ン太…」
「どうしたの?何か用事?」
「こ、これ…お母さんがっ…」

そう言ってブン太に先ほどの紙袋を差し出すと母さんに渡しとくな。と受け取ってもらえたので帰ろうとするとブン太に腕を掴まれた。

「っ!!ちょっと、何よっ」
「何で最近俺のこと避けてんの?」
「さ、けてないっ…」
「避けてんじゃねーかよ」

離してほしくて必死に抵抗してはみるが、男の子の力には叶わないのかブン太の手が離れることはなかった。

「離してよ…」
「離さねーよぃ、ちゃんと避けてた理由説明しろ」

あまり身長差はなかったのに、いつの間にかブン太の身長は私よりずっと高くなっていて、声も少し低くなっていた。
知らない間にこんなに変わってたんだね。

「言えない…」
「なんで?」

鈍感なとこは変わってくれない。
できれば察してほしかった。
ブン太はずっと頑固だったから言い出したら聞いてくれない、きっとそれは変わってない。




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