体育館に入ると空気がガラっと変わったみたいに熱気に包まれていた。
みんな一生懸命頑張ってるんだな、なんて思いながら周りを見ていると清水先輩に声をかけられた。

「これ、使って」

「えっ、いや!大丈夫ですよ!!」

そう言ってパイプイスを持って来てくれた清水先輩に寧ろ手伝わせてください!と伝えるとクスっと笑ってありがとう、と言われた。

「でも大丈夫よ、もう仕事ほとんど終わったし」

「いや…でも清水先輩を差し置いて私だけ座るなんて…」

「いいのよ、あんまり無茶したら月島に怒られるよ」

蛍くんの名前を出されると何も言えなくなるのを清水先輩はわかってらっしゃるのか…。
そう言われて蛍くんの方を見てみると練習中なのにチラチラ私の方を見ているのがわかった。
そんなに私心配かけちゃってるのかな?と思い清水先輩の行為もあったのでおとなしくパイプイスに座ることにした。

こうやって蛍くんの練習姿を見ていると中学生の頃を思い出す。
なんだかんだ言っていつも必死になって練習していた蛍くん。
お兄さんのことがあったから必死になうことが嫌いだといつだったか言われたことがあったけど、こうやってバレーしてる蛍くんを見るとそんなの口だけだって私はずっと思っていた。
でもそれが本当だったらこうやって古豪の烏野に進んでいるわけない。
私もこうやって蛍くんを応援したかったから烏野を受験した。

こうやって蛍くんが頑張ってる姿を見てるのがやっぱり何より楽しくて好きだと改めて思った。

「クスッ、ゆいちゃんは月島のこと好きなんだね」

「えっ!?いきなり何言ってるんですかっ!!?」

「だって月島のことばっかり見てるじゃない」

図星を言われ顔に熱が集中したのがわかった。

「そ、そんなに…わかりますか?」

「うん、月島もゆいちゃんのこと好きだってよくわかる」

だっていつもより調子良いから。なんて言われて恥ずかしい反面嬉しいとも思ってしまった。

「清水先輩…」

「潔子でいいよ」

「えっ…」

「私、ずっとゆいちゃんと仲良くなりたいって思ってたしね」

そう言いながら笑ってくれた清水…潔子さんの笑顔はとても綺麗で、田中さん達が騒ぐ気持ちがわかった。

「気にしないでまた練習見に来てよ。待ってるから」


蛍くんの頑張ってる姿もこうやって見たいと思っていたし、潔子さんにそう言ってもらえたので私はまたこうやって練習を見学させてもらおう、と小さく決めた。




 

  back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -