むすっとしている蛍くんを見て不謹慎だとは思ったけど蛍くんは会ったこともないテレビの中の私にとっては遠くて仕方ない人物にもヤキモチを妬いてくれたのだと思うと、どうしても嬉しくて仕方なかった。

「何笑ってんのさ」

「蛍くん、ヤキモチですか?」

そう言って蛍くんの隣に腰を下ろすと私から目線を外して全然違う方を向いてしまった。
こうやって真っ向から話をされるのが苦手だって山口くんに聞いたことがあったけど、本当に苦手みたいで全く私のことを見てくれない、そんな蛍くんの肩に頭をそっともたれてみる。

こうやって私から蛍くんに甘えたりしたことがなかったからか、蛍くんの肩はビクっと上がった後に、どうしたの?と聞いてくれた。

「何にもないよー、でも…甘えたくなっただけ」

昼休みの中庭は天気も良くて気温も過ごしやすく丁度日陰になっていて、蛍くんが隣にいてくれて心地よかった。

「蛍くん…」

「………何」

「私だれよりも蛍くんが好きだよ」

「っ!!何、言ってんのさ…」

「ヤキモチ妬いてくれたんでしょ?」

まぁ…そうだけど…と答えた蛍くんの顔はなんだか少し悔しそうな顔をしていた。

「相手はテレビの中の私の全然知らない人…だよ?
温もりも知らないし、性格も何も知らない!
だったら私は真剣にバレーしてボール追ってる蛍くんの方が何倍も何十倍もカッコイイって思うけどなー」

「………」

「こうやってヤキモチ妬いてくれる蛍くんが好き…これじゃ……ダメかな?」

蛍くんの顔を見て真剣に聞いてみると、今度は視線を外さない。
少し顔を赤らめて蛍くんは、ダメじゃないよ…と言ってくれたので私はいつも蛍くんがしてくれるようにぎゅっと抱きついてみた。




 

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