しばらく校舎を歩いていると目の前に良く知った人影…蛍くんがいた。

「あ、蛍くん…。」

「ゆい?どこ行くの?」

別に…と呟いて蛍くんの隣を通り過ぎようとすると腕を掴まれる。

「どうしたの?」

心配そうに私に言ってくれる蛍くん、でも今は一緒にいたくなかった。
きっと私は酷いことを蛍くんに言ってしまいそうで怖かった。

「今は…ほっといてほしい…。」

そう言って蛍くんの腕を振り払ってそのまま廊下を歩いた。


しばらく彷徨っているといつの間にか屋上に来ていた。
過ごしやすい気温で天気も良く心地よかった。

「あれ?ゆいちゃん?」

声が聞こえた方を向くと澤村さんがいた。

「あ、どうも…。」

「どうした?なんか暗い顔してるけどなんかあった?」

「あー、いや…ちょっとセンチメンタルです」

ははは、と笑いながら澤村さんの隣に座って言う。

「そっかー、まぁそんな時もあるよな!」

ニカっと笑って私の頭をガシガシと撫でてくれる澤村さん。

「もーっ!髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃないですか!」

「あー、悪い悪い!なんかほっとけなくってな!」

こう言ってくれる澤村さんはきっととても優しい人っていうのは蛍くんや山口くんに聞いていたから納得してしまっている自分がいた。
日向くんと影山くんを体育館から締め出したり、蛍くんがイヤミ言ったりするとちょっと怒ったりしたり、スイッチのオンとオフがしっかりできる頼れる先輩だとも聞いていたのでなんだか勝手に私も頼れる存在だって思ってた。

「まぁ、なんかあったなら月島のこと頼ればいいと思うけどな」

「…蛍くんをですか?」

「だって付き合ってるだろ?」

そうですけど…と言う私の後にそれに、と続ける澤村さん。

「月島は本当にゆいちゃんのこと大切だって思ってるって聞いたぞ!」

「え?」

「呼び出しとか多いと思うけど、その度にゆいちゃんのこと言われて怒ってんのか知らないけどキツイこと言われたって泣いてる女子見かけるぞ?」




 

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