「持ち主見つかってよかったです。」

「本当にありがとうございました!無くしたかと思ってちょっと焦ってたんですよ!」


椿ちゃんと来てよかったね、と言っていると彼の後ろから蛍くんがちょっと怖い顔をして近づいてきた。

「さっきって…何があったの、チビ。」

「つ、月島っ!チビって言う方がチビなんだぞ!俺が走ってたら廊下でぶつかって…いででで!!!月島っ!痛いから離せって!!!」

彼が言い終わる前に蛍くんは彼の頭を鷲掴みに……痛そう…。

「け、蛍くんっ!痛そうだからやめてあげて!!」

「月島…目怖いよ…。」

ゆいが言うなら…と言って手を離してくれた蛍くんは私の元に近寄ってきて

「ゆいどこも痛いとこない?日向は無傷なのわかってるけどゆいは?」

「私も大丈夫だよ!よそ見してたから私にも非はあるしね。」

そう言ってみるものの蛍くんは日向くん?を見る目が少し怖い…。

「まぁまぁ、月島!それ以上やると日向の頭潰れちまうぞ!」

さっきの人が蛍くんを止めてくれて少しホッとした。

「ところで…さっきから名前で呼び合ってるけど…月島の彼女かな?」

そう言われて答えるか迷ったけど、蛍くんの顔を見ると別にいいんじゃない。と言いたそうな顔をしていたので、はい…と答える。

「そっか!月島ーお前可愛い彼女いるんじゃねーか!チクショー!羨ましい!」

「菅原さん…あんまり大きな声で言わないでくださいよ、田中さんたちが聞いてたら「月島ー、呼んだかぁ?」はぁ、やっぱり来た…。」

蛍くんの後ろからちょっと怖そうな坊主の人が出てきた。

「なんだなんだ?月島の彼女?お前…先輩を差し置いて…。」

「そーゆーの関係あるんですか…。」

二人の会話を聞いてか次々と体育館の入口には人が集まってきた。
みんな月島の彼女?どっち?などと言っていたのでさっきの会話は全て丸聞こえだったのかと、少し恥ずかしくなった…。

「おい、お前ら!練習始めるぞ!」

「大地さん…だって…月島に可愛い彼女が…。」

大地さんと呼ばれた人がひょこっと顔を覗かせてジロジロと見られて、邪魔だから帰れ。なんて言われるのかと思っていると、本当だ可愛いな。と笑顔で言ってくれた。

「あー、よかったら見学していくか?なぁ、月島。」

「え、でも…。」

「こいつらも気になって仕方ないみたいだし、このままだと練習に集中できないんじゃないかって思ってな。」

「え、あの…いいんですか?」

「あぁ、俺は別に構わないぞ!」

「私は…見てみたいんですけど…蛍くん……嫌だよね?」

「キャプテンが良いって言ってるし…見て帰れば?」

と蛍くんが言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。
椿ちゃんは用事があると言って帰ってしまったので一人で少し離れた体育館の端っこで見学させてもらことにした。


高校生のレベルって本当にすごいと改めて思った。



 

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