体育館の前に着くとボールが床に落ちる音、シューズのスチール音が響いていてなんだか少し懐かしく感じた。
それと蛍くんのバレーしてる姿高校生になって初めて見るからちょっと緊張するかも…。

「これ…入って大丈夫なの?」

「わかんない…でも勝手に入ったら怒られちゃうかな…。」

どうにかして蛍くんか山口くんか呼べたらいいんだけど…。

「どうかした?」

椿ちゃんとどうしたらいいかわからず扉の前で迷っていると後ろから誰かが声をかけてくれた。

「あ、いや…あの……。」

「ん?誰かに用事?呼んで来ようか?」

そう言ってくれた人はシルバーの髪色に目の下にホクロのある優しそうな人だった。

「あ…蛍くん……月島蛍くんお願いします…。」

月島な、わかったー。と言ってその人は体育館の扉を開けて月島ー、お客さんー!と蛍くんを呼んでくれた。

「っ!ゆいっ!!どうしたの…びっくりした…。」

「あ、蛍くん。練習中にごめんね…。これ廊下に誰かが落としてて…蛍くんに言えば誰のかわかるかなって思って…。」

「いや、丁度休憩だったから。」

そう言って蛍くんに例のジャージを渡すと持ち主がすぐわかったようで近くに座っていた部員のとこに行ってジャージを投げつけていた。

「いって!月島!!何すんだよっ!」

「うるさいな…忘れ物届けてもらったんだからお礼言ってきたらどうなの?」

蛍くんがそう言ったからか声の主が走って私たちの目の前にやって来た。

「ありがとうござ…あーーーっ!さっきの!!」

そう言って叫ばれてよく見るとさっきの人が目の前にいて、やっぱり持ち主は彼だったのだと安心した。

「あ、さっきは…どうも……。」

「やっぱりこの人だったんだね。」




 

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