明日は休みということは、あっちの仕事の日。
定食屋とかけもちして、私は都心の風俗店で働いている。
もちろん、父親の借金を返すために。

定食屋で休みをもらっている日だけなので、週に2.3回だけだが、やっぱりお給料は全然違う。
それでも、風俗1本にしないのはそこまで自分を貶めたくないからだった。
もちろん楽しくもない。
自分が段々真っ黒に染まってしまう感覚に陥る。

「はぁ〜、嫌だな。本当に。」

誰もいない部屋でそう呟く。
誰も聞いていない部屋でだけ唯一弱音が吐ける。




たいくつな毎日。

女の子は必ず幸せになれる?

バッカみたい。










仕事前ふっと鏡を見ると、いつもの自分とは全く別人の私が写っていた。
いつもは、化粧と言ってもほとんど何もしていない程落ち着いてるし、長年伸ばし続けた髪の毛も特に何かするわけでもなくまとめていて、服装もすごくラフな格好なハズなのに、
今日の私はとても濃い化粧で、クルクルと巻かれた髪の毛、許される限り露出した派手な服装。
本当に別人にしか見えなかった。

「我ながら、本当…すごいよね……。」


高いヒールをコツコツと鳴らしながら店に向かう。
きっと今知り合いに出会っても誰にも気づかれない。



「ニーナちゃん、何番で指名入ったよ。」

「はい、すぐ行きます。」


ここのお店ではニーナと名乗った。
違う自分でいれるようにと、自分への暗示のように。






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