今までこんなに私自身のこと思ってくれた人なんていただろうか。

私が覚えてる中では今まで一度もなかった。


小さい頃に思ってた、女の子は必ず幸せになれるって言葉。
それを私は今やっと手に入れられた気がする。

「黒尾くん…私でよかったら……一緒にいてください。」


そう顔を見れずに呟くとまたぎゅっと腕に力を込めて、もちろんっと笑って言ってくれた。









その後私は風俗店をやめた。
もちろん自分のためでもあったけど、黒尾くんのためでもあった。
もう汚れていたくない。
過去は変えられないけど、こうやって黒尾くんが笑ってくれたらそれでよかった。
いくら仕事がハードになったって、別によかった。


「本当に仕事辞めちまってよかったのか?」

「うん、黒尾くん…嫌でしょ?」

辞めてから黒尾くんはいつも気にして聞いてくれるけど、本当に後悔はしてない。
前に比べて毎日楽しくなった。
毎日笑顔でいれるようになった。





「お母さん、私今とても幸せだよ。」

「あら、いいことでもあったの?」

「うん、彼氏…できたの。」

お母さんは少し驚いた顔をしてたけどとても嬉しそうに、よかったね、またお母さんにも会わせてね。と笑って言ってくれた。



きっとこの先辛くても黒尾くんがいてくれるから私は何だって耐えられる気がする。





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