部屋に黒尾くんを招き入れたのはよかったが、何故かすごく機嫌が悪い。
話かけようかとも思ったけど何を話したらいいかもわからず、沈黙の時間が続いていた。


「夜久と二人っきりでなんの話してた?」

「え、いや。別に何もないよ?どうして?」

何もなかったと言えば嘘になると思うけど、黒尾くんのことを相談してたなんて口が裂けても言いたくなかった。

「ふーん…夜久が恵が悩んでるって連絡来たから会いに来てみたけど、俺には言えないこと?」

ぐっと黒尾くんとの距離が近くなって私もドキっとしてしまった。
黒尾くんの表情も真剣だった。これを誤魔化してもいいのかすごく考えたけど、この気持ちを黒尾くんに伝えてしまうと、きっと何か変わってしまうんじゃないかと正直不安になった。

「い、えない…わけじゃないんだけどさ…。」

「じゃあ、教えてよ。俺は恵のことなら何でも知りたい。」

「知らないほうがいいことも…あると思うよ。」

「そーかもな。でも俺はあんたのことなら知りたい。」



こうやって真剣になってくれる黒尾くんがたまに怖くも思った。
でも気づいた。私はこんな彼に恋をしてしまったんだ。

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