衛輔に言われて確かに最近楽しかったことと言ったら黒尾くんや衛輔とこうやって話してる些細なことくらいだった。
些細なことでも幸せで満足してた私もいたけど、こうやって衛輔に言われて気がついた。

「俺はさ、姉ちゃんに幸せになってほしいわけよ。
それがどんな壁があったって、乗り越えて幸せになってほしいよ。」

「うん……。」

「俺も黒尾も学生だから分かってあげれないことだってあると思うけど自分の感情押し殺してまで頑張らなくったって誰もなんにも言わないと思うけどな。」

「そう、だよね…。」

「おばさんも心配してた。」

最近お母さんは顔色が悪いや、無理してないかと私に毎回聞いてくる。
きっと衛輔にも私が無理してないか聞いたんだと思う。

ピロンと衛輔のスマホが鳴った。
誰だよ。と渋々スマホを開いた衛輔の顔が少し驚いた後にこれ、と私にスマホの画面を見せてくれた。
LINEの送り主は黒尾くんで今から行く。と一言。

「ってことで、俺帰るわ。」

「え、衛輔っ!!ちょっと待ってよ!」

「後は黒尾と話なよ。もう近くまで来てるみたいだしな!」

ごちそうさんでしたー。とヒラヒラ手を振って衛輔は帰って行ってしまった。

黒尾くんが来る?えっ…なんで?
頭が混乱して落ち着いてないのにインターホンが鳴る。
きっと…いや絶対黒尾くんだった。
恐る恐る扉を開けると少し不機嫌そうな黒尾くんが立っていた。


「恵、入ってもいい?」

私は断る理由も見つからず黒尾くんを部屋に招いた。

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