俺はいつまででも待ってるからさ!と言って笑ってくれる黒尾くん。
きっと心がとても広いんだろうなと改めて思ってしまった。
なのに…私は情けない。
黒尾くんのようにストレートに気持ちを伝えることはもちろん、こうやって笑ってあげることもできないだろう。


その後、いつも通り学校の話をしてくれたりたくさん話をしてくれた。
普段バイト中に来てくれる時はやっぱりやらなきゃいけないことだってあるから、あまり時間を費やせなかったから、今日はずっと話を聞けてとても楽しくて時間もあっと言う間に過ぎて行った。


帰り道でも黒尾くんは手を繋いでくれて、とても楽しい時間で、あの一人ぼっちの部屋に帰ることが少し嫌になった。


「じゃあ、今日はありがとうね。わざわざ送ってくれてありがとう!」

「俺こそ、仕事…ごめんな?」

全然大丈夫!と黒尾くんに告げて、じゃあ気をつけてね。と言って部屋に入ろうとすると突然腕を引っ張られて私の身体は黒尾くんの腕の中にあった。

イキナリのことでひゃっ!なんて声が出てしまったが黒尾くんの腕の力は緩まることなく強く抱きしめられていた。
心臓がうるさい、驚いたから?それとも…。

「恵…何かあったら呼んでくれよ。いつでも来るから。」

そう耳元で切なそうに囁かれる。

「うん…あり、がとう。」


おやすみ。と腕が解けて黒尾くんはそんまま帰ってしまった。
部屋に入って一人になっても心臓の音はうるさいままだった。

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