そのまま黒尾くんの手を取ったまま都内を歩いていた。 どこにいても人でいっぱいで本当に平日なのかと疑いたくなるくらいだった。 どこ行くの?と尋ねると、内緒と言われ私は黒置くんの後を着いて行くしかなかった。 しばらく歩くと裏路地のお洒落なカフェに着いた。 外見はすごく分かりづらくてしってる人しか来ないんじゃないかと思うくらいだった。 店内に入ると凄く落ち着いた感じのシック調でまとめてあるお店だった。 「こ、こんなとこ…初めて来たよ!」 「だろーな!俺こういう隠れた店見つけんの得意なんだぜ!」 そう言って黒尾くんは嬉しそうに笑ってくれて、私たちに気づいた店員さんに席に案内され、向かい合って席に着いた。 コーヒーがオススメだと教えてもらったのでコーヒーを頼むと黒尾くんも続いて俺も。と言った。 いつもは制服やジャージしか見ていないからか、目の前に座ってる黒尾くんはいつもと別人のようで、少しドキドキしてしまう自分がいた。 「なーに見てんだよ、俺なんか変か?」 「いやっ!そういうわけじゃなくて…。」 『好きだよ、恵。』 昨日そう言った黒尾くんの声が忘れられなくてどう対応したらいいのか正直戸惑っていた。 「コーヒーおまたせいたしました。」 そう言ってテーブルにコーヒーは二つ置かれて、ごゆっくりどうぞ。と言って店員さんは裏に戻って行った。 「ここさ、呼び鈴で店員呼ぶシステムだから大事な話したい時とかにいいんだよなー。」 なんて黒尾くんは言ったものの、何の話があるのかと思ったけどきっと一つしか無いことはわかっていた。 「昨日のことさ、俺の本音なことは確か。」 「うん…。」 「でもさ、焦って答えくれなくていいからな。」 「えっ…でも…。」 「恵に色々あるのは…何となくわかってる。 だから俺は答えを焦らない。 いつか恵がしっかり決めれるようになってからでいいから。」 そう言ってコーヒーを飲む黒尾くんにまたドキドキした。 「うん…ありかとう…。まだ…話せないことも、たくさんあるし…私もやらなきゃいけないこと…たくさんあるから…。」 クスっと笑って黒尾くんが知ってる。なんて言うもんだからなんでも見透かされてるような気分になった。 それでも嫌な気持ちにはならなかった。 戻る |