黒尾くんに告げられた言葉にどう返すか迷っていた。
私は黒尾くんの気持ちに応えることが、どうしてもできなかった。
そのまま黒尾くんに抱きしめられて動けないでいた。

「返事…今じゃなくてもいい…。恵にも色々あることは俺にだってわかるから。」

「うん……。」

「もし恵に気持ちが無いなら、俺に惚れさせてやっから。」

顔を上げてみると黒尾くんはまたニッコリ笑ってくれた。
黒尾くんの気持ちは本当に嬉しい、とっても。
もし何も無い私だったら、OKしてるんだと思う。


でも私には、色々ありすぎる…。
黒尾くんには言えないことが多すぎる。



そのまま一緒にベットに入る。
黒尾くんは別に何もしてこない。
その優しさにも喜びを感じた。
仕事上、男の人とはきっと一緒にベットに入るイコール身体の関係を持つことだと思っていたから。

スースーと黒尾くんの寝息が心地よく聞こえる。
明日もきっと練習あるんだろうに、ワガママを言ってしまったかな。

お風呂に入った黒尾くんの髪はぺったりと寝ていて、どこか幼さを感じた。

(こんなこと思ってたらおばさん臭いかな?)


黒尾くんの寝顔を眺めていると、安心したのか私もすぐに眠りにつくことができた。

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