黒尾視点


夜久の幼馴染で4つ年上の恵さんと出会ったとき、綺麗な人だと思った。
あまり詳しくは知らないらしいが、色々と事情があって引っ越したらしくて久しぶりに会ったらしい。

本人にも聞いてみたけど、掛け持ちして毎日毎日働いてるらしい。
俺は毎日部活で働くことの大変さはわからないが、正直あまり顔色が良くない気がした。

休日の朝、研磨と共に学校までの道を歩いていると遠目からも女の人が歩いてくるのが見えた。
少しフラフラしていて危なっかしい感じだった。
でもなんだか見たことのある雰囲気で、誰だったかと考える前にわかった。
恵さんだ。

化粧もいつもより濃いくて、髪型も服装も違うかったけど、俺にはわかった。

声をかえると少し驚いていたが、いつも通りの恵さんだった。
送ろうか?と言うと部活でしょ?と言われそのまま別れた。

どうしてそんな格好で?どうしてこんな時間に?なんて聞きたいことはいっぱいあったけど、仕事のことをとやかく言うのは、俺が部活ばっかりどうして?と今まで付き合ってきた女に言われてるのと同じだと思い、あえて聞かないことにした。

「黒尾さ、姉ちゃんとどうなの?」

「どうって何だよ、夜久。」

「連絡取ってんだろ?」

「あー、取ってるけど…何もねぇよ?」

「ふーん…。」




なんで夜久がこんなこと聞いてくるのかは今はわからなかったけど、最近ずっと時間があれば恵さんのことを考えている。

俺も部活で忙しくて会ったりできるのは、俺が店に行く時しかないけどそれでも楽しそうに話に来てくれるから、それだけできっと満足していた。


「クロ…恵さんのこと…結構気にしてるよね。」

「あぁ、そーかもしんねーな。」

「それは恋?」

「はぁっ!!?なんでそーなんだよ!」

「…クロはバカだね。」


研磨にもこんなことを言われて訳が分からなくなってきた。







でも、俺は恵さんのこと、好きなのかもしれねぇ。

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