明日は定食屋は休みだ。 向こうの仕事の前の日は相変わらず憂鬱になる。 「3番さん指名入ったよー。」 「はーい、すぐ行きます。」 グズグズ言っている場合ではない。 部屋に行く前にケータイを見ると、黒尾くんから着信がはいっていた。 今仕事中なの、ごめんね。とだけ返してそのまま部屋に向かう。 基本仕事中はケータイを持っていなかったのでその後ケータイを見たのは2時間後だった。 こんな時間まで何の仕事?と帰って来ていて、返事に困ったがバーだよっと返信し、やはり時間も遅かったのでその後は返事はなかった。 黒尾くんにこの仕事のことがバレたら嫌われちゃうかな。軽蔑されちゃうかな。 なんて思ってみるも、今日は忙しいみたいで考える余裕すら与えてもらえない程忙しかった。 始発帰ったが、すごく疲れていていつもより歩くスピードはかなり遅かった。 ふっと顔を上げると真っ赤なジャージの男の子が二人歩いていた。 一人は遠目でもすぐわかった。黒尾くんだ。 そういえば返事返してないや。なんて思いながらもこの格好で話しかけたところできっとわからないだろうとも思ったので、横を通り過ぎようとすると腕を掴まれた。 驚いて繰り替えると黒尾くんだった。 「恵さん…ですよね。なんでこんな時間にこんな格好で歩いてるんですか…」 ビックリした。 今まで誰にも気づかれたことなかったのに、どうして黒尾くんにはわかったのだろう。 「仕事帰りだよ?バーで働いてるって言ったでしょ?」 「あぁ…そっか。大丈夫ですか?送りましょうか?」 黒尾くんは少し悲しそうな顔をしてそう言ってくれた。 でも休日のこんな時間に歩いているということはきっと今から部活だと思う。 「ううん、大丈夫よ。部活じゃないの?」 あえて格好のことには触れず、黒尾くんを見送った。 きっとキャバクラで働いてるとか思われたんじゃないかな…。 まぁ、それでもいいか。 ふっと悲しい顔をした黒尾くんのことが浮かんだ。 (どうしてあんな悲しい顔…したんだろう。) 戻る |