ハイキュー | ナノ




合宿なんてめんどくさくて正直乗り気じゃなかった。
特に音駒のマネージャーは黒尾さんと一緒に僕に付きまとってくるのが正直めんどくさいと思っていたハズなのに、次第にあの子に気を許してしまっている自分もいた。

「月島くん月島くんっ!クロ先輩が呼んでたよ!」
「また?行かないって言っててよ」
「なんでよ!クロ先輩月島くんと自主練するの楽しみにしてたのに…」
「…勝手にすれば?」

動物に例えると子犬。
黒尾さんに忠実な犬にしか見えなかった。
そんな彼女神谷蒼唯との出会いは特に何も印象がなかったのに、なんでここまで僕に話しかけてくるのかよくわからなかった。

毎日試合形式の練習が続く中、ペナルティが多くて正直バテた。
山口や澤村さんや谷地さんに心配されても大丈夫、の一言で片付けてた。
日陰で休んでいるときに神谷サンがやってきたんだった。

「大丈夫?これ飲みなよ」

そう声をかけられたのが始まり。
初日にマネージャーとして挨拶されてたから何となくは覚えてたけど名前までは覚えてなかった。

「ツッキーさぁ、蒼唯と最近仲良くねェ?」
「ツッキーって呼ばないでください。それとあいつが勝手に話しかけてくるだけです」
「なになにィ?うちのマネージャーに惚れちゃった?」

そう茶化してくる黒尾さんにそんなワケないデショ。と一言告げてその場を立ち去った。
僕が神谷のこと?そんなこと考えたことなかったし、そんなことありえないって思ってた。

最終日前日の夜、なんだか寝れなかったから外に散歩に出ているとポンっと背中を叩かれた。

「よっ!こんなとこで何してるの?」

いつもは上げている髪を下ろした神谷が立っていて、いつもと違う雰囲気で少し心臓が高鳴った。
別に…と言うとそっか。と呟いて隣に腰かけてきた神谷からは少しシャンプーの匂いがして、本当にいつもとは別人の彼女に正直戸惑った。

「明日最後だね…」
「そうだね」
「月島くんは寂しくない?」
「別に…」
「そっか、私はちょっと寂しいよー」

寂しいなんて思ったら変かな?とハハっと無邪気に笑う神谷の表情はどこか切なそうに見えたのは気のせいなのか?と思ったけどそうじゃないみたいだった。

「月島くん、頑張ってね。私音駒のみんなと待ってるから」
「まぁどうなるかはわかんないけどね」
「そんなこと言ってなんだかんだ負けず嫌いじゃない!クロ先輩も言ってたよ!ツッキーは絶対伸びるって!」

だからあっちでも頑張ってよ。なって彼女が笑うから少し頑張ろうかな、なんて思ってしまった僕は単純なのかもしれない。




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