合宿も無事終わって宮城に帰ってきた僕は周りにどこかおかしい。と言われることが増えていた。
自分でもおかしいなんて思っていたけど理由はわかっていた。
いつもふっとした時に頭をよぎる神谷の無邪気な笑顔とあの日の切なそうな顔だった。
この気持ちを僕は知らない。
日に日にモヤモヤが増えて行っていてもたってもいられなくなった僕は合宿中に強制的に交換させられた黒尾さんの連絡先を開いてそのまま電話をかけた。
「ヤッホー!ツッキーじゃん、どうしたの?」
「黒尾さん、聞きたいことがあるんですが」
「ん?俺に?またどうしたの?」
「ボーッとすることが増えていつも同じ人の顔が頭に浮かぶのってどういう感情なんでしょうか」
割と僕の中では真剣に話してるつもりだったのに、電話の向こうの黒尾さんは少し黙った後にいつもの変な笑い声で笑いだした。
「な、なんですか」
「悪りィ悪リィ。ツッキーそれなぁ恋ってヤツだよ」
ツッキーは蒼唯に恋しちまったってことでいいのか?と聞かれて初めて気がついた。僕は神谷のことが好きだったからいつも顔が頭から消えなかったんだ。
「これ蒼唯には内緒な?あいつもボーッとすること増えてんだよ」
だからツッキーから連絡してやってくれよ。と言うだけ言って黒尾さんは電話を切ったと思ったら次はLINEが来た。
文章には電話番号だけが載っていた、これが神谷のモノだと気付くのにそう時間はかからなかった。
そのままの勢いで電話をかけるともしもし…と少し小さな声が聞こえた。
「もしもし、月島だけど」
「つ、月島くんっ!!な、んで…?」
「黒尾さんに聞いた。それでさ、言っておきたいことあるんだけど」
「…どうしたの?」
ここまで心臓が高鳴ることが生きてきてこの方あったことはなかったのに、今の僕の心臓は普段の三倍くらい高鳴っていた。
「僕…思っていたより君のこと好きだったみたい」
「えっ!」
「ねェ神谷はどうなの?」
「………、き」
「何?聞こえない」
愛しい人だと気付く「私も月島くんのこと好きっ!!」
「よかった、じゃあよろしくね、蒼唯」
「ちょっ!!いきなり反則だよ…」
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