「蒼唯ちゃん、今までありがとう。」
そう私に言い残して徹がこの部屋を出て行ったのは一体いつのことだったかな。
もう何年も前のように感じるけど、つい最近のことだった。
高校生の頃から付き合って大学生になって上手く行ってたから同棲を始めたものの、やっぱりすれ違いが多く喧嘩が絶えなくなって、お互い社会に出ると更に悪化し、ついには1週間口を聞かないことだってあった。
そんなことが多く耐えられなくなって徹がここを出て行ってしまった。
10年近くの付き合いもあっけなく終わってしまうんだ、とふっと思ってしまったが何故か涙だけは出ない。
悲しくないわけではないし、徹のこと嫌いだったわけでもない。
なのに涙はどうしても流れない。
仕事に行って、帰ってきてもこの部屋には誰もいない。
私はたまに徹と会えることが少し楽しみになってたのに、徹は違うかったんだね。
何日部屋に帰ってきても徹はいないし、連絡も来ない。
あぁ、私たち本当に終わってしまったんだと実感させられた。
「俺たちこのまま結婚するのかなー?」
「私はそうだといいと思ってるけど、徹は?」
「モチロン!俺だって蒼唯ちゃんと結婚したいと思ってるよ!」
こんな会話もしてたな、あの頃は2人とも会えるのが楽しみでたまらなかったと私は思う。
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