「一ちゃん…。」
「どうした?」
泣き止んで落ち着いたのか蒼唯は真っ赤な目をしたまま顔を上げて俺をじっと見つめた。
「こんな形で言いたくなかったんだけど…一ちゃんが言ってた私の好きな人ね…。」
聞きたくない、なって今更言えない。
それを言ってしまうと俺は蒼唯が好きだって言ってるようなもんだったから。
「一ちゃんだよ。」
「は?」
「ずっと…小さい頃から、一ちゃんしか見てなかった。」
え?蒼唯の想っていた奴が俺?頭の中の整理が上手くつかない。
でも本当だったとしたら、及川のあの気持ち悪い笑顔の意味も説明がつく。
なんて思うと何故だか笑いはこみ上げてきて、気がつくと笑っていた。
なんで笑うのよ!なんて顔を真っ赤にして蒼唯は怒るが、少し落ち着いて蒼唯の腕を引っ張って抱きしめた。
すっぽりと俺の腕に収まる蒼唯、こんなに体格の差ができていたんだな、とか小さいな、なんて色んなことを想っていたが一番は幸せがでかかった。
「俺も、ずっと蒼唯のこと好きだった。」
ぎゅっと少し力を込めてそう言うと、また蒼唯は俺の腕の中で泣き出した。
きっと嬉し泣きだと思ってそのまま抱きしめた。
いきなり始まる物語「私…幸せかもしれない。」
「かもじゃなくて幸せって言えよ。」
−あとがき−
んー、青春ですよね!
私の中で岩ちゃんは性格男前ナンバーワンです!
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