俺には蒼唯という幼馴染がいる。
18年間何をするのも一緒だった。
もちろんバレーも。
俺はずっとあいつのことが好きだったりする。
「一ちゃん!次の試合いつなの?」
「あー、まだ先だなー、どうした?」
「早く一ちゃんがバレーしてるの見たいの!」
中学までは蒼唯もバレーをしていたが、高校に上がると辞めてしまいこうやって試合の度応援に来てくれる。
たまに一緒になって放課後残ったりもしている。
こんな関係が壊れてしまうのが実は少し怖かったりしているからこそ、自分の気持ちを伝えることが18年できないでいる。
蒼唯が告白されたなんて噂はよく聞いているし、本人からも聞いていた。
正直モヤモヤしてしゃーねーけど、俺には何も言う権利はない。
「ねぇねぇ、岩ちゃん、知ってた?」
放課後の部活中及川が俺の元にやってきて意味深な質問をしてくる。
いつにも増してニヤニヤして…。
「あ?何がだよ。」
「蒼唯ちゃん、好きな人いるらしいよ。」
及川は中学の時から俺の気持ちを唯一知っている。
だからか、蒼唯が告白されていた、誰かが蒼唯のこと好きだ、等あいつに関しての情報を今みたいなニヤニヤした腹立つ顔で俺に伝えにくる。
「は?なんだよ、それ。」
「俺今日クラスの子が話してるの聞いちゃったんだよねー。」
あいつに好きな奴がいた、なんて話は今まで一度も聞いたことがなかった。
いつも告白されたって断っていたし、いつも俺が傍にいたから…。
「確かな話なんだろうな。」
「うん、もっちろん♪」
とりあえず笑顔で気持ち悪かった及川に頭突きをかまして練習に戻った。
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