「おーい、チビちゃん。今日も小さいね!」
二口堅治、こいつは毎日私にチビチビ。と言ってくる。
「チビじゃないってば!私は平均なの!二口が大きいだけじゃん!」
「いやー、神谷はチビだって!」
朝学校に来てから放課後までずっと時間さえあれば二口の口からはチビって単語しか出てこない。
本当嫌になる…。
なんて思ったのは初めの頃だけで、実は私は二口のことが気になっていた。
どうしてこうやって毎日突っつかかってくるのか私にはわからなかったし、正直期待したことだってあったけど、きっと私で遊んでるだけ。
そう思うことにした。
「チービちゃん、何考え込んでんの?」
「別に…どうやって二口の身長抜かしてやろうかと思ってただけだよ。」
「いやー、きっと無理だろ。後何センチ必要なのさ。」
そう言って頭を乱暴に撫でてくる二口。
ちょっと子供扱いさせてる気分…。
そんな小さなことでも私は毎日幸せを感じていて、学校に来る楽しみでもあった。
ある日、同じクラスの青根に用事があって体育館を訪れてた。
真剣な二口の顔、汗も重症なのか輝いて見える。
青根に用事があったのに、そんなことも忘れて練習に見入ってしまっていた。
「あれ、チビちゃんじゃん。どうしたの?」
「ふふふふふ、たくちっ!」
「いや、"ふ"多いし。」
プっと二口が吹き出して笑う。
「そんで、どうしたの?」
また頭を撫でで問われる。
「あ、おねに…これ渡しててっ!」
そう言って二口に先生から渡すように頼まれていたプリントを押し付けて、そのまま走って逃げた。
何、逃げてんだろう…。
きっと変に思われたに違いない。
明日顔合わせたくないなー。と思う一方でやっぱり会いたいと思う私はきっと重症なのだろう。
「チビちゃんー、昨日なんで逃げたの?」
次の日教室に入ると早速二口が近寄ってきた。
しかも、いつも以上にニヤついた顔で…。
「べ、別に。用事あったからさっさと帰りたかった…だけ。」
「ふーん…じゃあさ、また練習見に来てよ。」
「えっ…。」
「お前いると練習頑張れるんだよ。」
そう言って二口は微笑んで言ってくれた。
私でもう遊ばないでよそんなこと言われたら期待しちゃうじゃん…。
−あとがき−
また二口目線で続編でも書こうかな…なんて思っております
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