ハイキュー | ナノ





卒業式当日、私はいつもと変わらない気持ちで学校までの道を歩いていた。

「今日で高校生も終わりかー。」

「そうだねー、鉄朗と学校登校するのもこれで最後なんだねー。」

「寂しい?」

「もちろん、寂しいよ…。」

「そっか。」

ギュっと手を握る力が強くなる。


卒業、明日からはこうやって並んで学校へ行くこともなくなるんだ。
こうやって鉄朗と手を繋いで学校に行くこともなくなるんだ。
当たり前でずっと続くと思っていた日常もなくなるんだ。

ずっと続けばいいのに。そんな私の気持ちも関係なく卒業式はあっと言う間に終わってしまった。
在校生達に見送られて、バレー部の後輩たちにも見守られて校門を出る。


「あー、終わっちゃった。」

「そうだな。」


たくさんの贈り物の花束を抱えて歩いていた。
仲の良かった子との別れにも涙した、後輩の涙を見て私も泣いた。

「鉄朗…」

「んー、どうした。」


私が立ち止まると、鉄朗も立ち止まった。

「私ね、正直不安なの。このまま付き合ってていいのかって。」

「鉄朗はもちろんモテるだろうし、とっても不安。」

「うん。」

「私は就職だから、きっと試合見に行ったりできないと思う…。」

鉄朗の顔を見て泣かないように告げようと決めてたのに、段々鉄郎の顔が涙で歪んでくる。

「だからさ…別れた方が、いいと思う…の。」


ついに我慢ができなくなってその場にしゃがみこんで泣き崩れてしまう。

本当は別れたくなんかない。
それでも不安が大きすぎて、目の前が真っ暗すぎて怖い。

「蒼唯、顔上げて。」

鉄郎に言われ顔を上げると、いつの間にか荷物を置いていたらしく抱きしめられた。
鉄郎の匂いでいっぱいになる。
ずっとこの匂いに落ち着いてきた。これも無くなるのかなと思うとまた涙が出てきた。

「別れたいっつーのは本音?」

「……ぅ。」

「ん?」

「ち…がう。」

「ん、ならよろしい。」

そう言ってまた強くギュっと抱きしめてくれる。





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